ドラえもんのび太の新宇宙小戦争2021を見たので予想通りの反応をする
覚悟を決めて見たよ!
以下この感想を読みたい人は「ああこの人はこんな変な人なんだなあ」というのを確認してから読んでください。できれば全部読んでくれると嬉しいね。そして多分一連のドラえもん記事を読んでくれたみんなの期待は裏切らない記事になってると思う。いちいちやることがオーバーだな。
結論
おれのパピとドラコルルをかえせ
評価
ドラえもん映画全感想的には「ワンニャン時空伝」に近いです。映画としては成り立ってるし面白いほうではあるけど、個人的にどうしても譲れない点で解釈不一致が起こっていて君を殺して僕も死ぬみたいになってる。
愚痴
いやさあ、ドラえもんの映画とかいうとゴールデンヘラクレスとか変なクレムとかトラウマ級の変なのぶっこんできたりそうじゃなくても「令和のママも気に入るようなの作ってますよチラチラ」みたいなの練りこんできたりするじゃん。するじゃん。だからもう最初から期待も何もしていないのよ。でも見ないで「最近のドラえもんはクソじゃ」とかは言いたくないので頑張って見たわけじゃん。見たわけじゃん。
うん。
映画としてはよかったぞ。
ちゃんと映画してたし、特に破綻なかったし、令和ならではの特殊効果があったし、特に気にしないなら普通に面白いと思うんだよね。だから見てない人は見たほうがいいと思うんだよね。うんうん。
へ?
うんうん……
とりあえず落ち着こうかなと思って……
まずは新作の発表ということで新パピのビジュアルが公開されたときのこと。もう吐血するレベルで「これはもうだめだ。世界が終わる」と絶望したわけ。俺の世界は俺の世界であって、お前の世界はお前の世界レベルの断絶があったのよ。もう死んじゃうみたいな感じでうおおおおんと思った。
これはどんなに脚本が良くてもだめだ。わたしのこころがしんでしまう。
そんな思いを抱えて時間が過ぎていくわけで。
ヒゲダンの主題歌すらしゃらくせえとか思ってたわけで。
もう見るしかないだろう。
そんで見たんだけどさあ。
パピがなんか人間ちっちゃくなってるし
ロコロコ喋んねえし
なんかストーリー変わってるし
ドラコルルがキャラ変してるし(死)
映画の撮影
宇宙小戦争の醍醐味って、やっぱり「映画」ってところだと思うんだよね。そもそもが「スターウォーズの小規模版」がコンセプトで、スターウォーズを真似して映画の撮影をしていたところ、小さいものだけど本物の戦争に巻き込まれていくというのがこの映画の醍醐味であって、それを大幅にカットするというのはどないやねんというところではある。
そして原作の意図を汲んでなのか旧作のオープニングとエンディングは「映画パロディ」なわけ。個人的にETパロは「スピルバーグが日本に来てたまたまのび太の恐竜を見て、そこから月の前を横切るシーンなどの着想を得た」という都市伝説を彷彿させていいですね。それに作品内にも細かなパロディが多く、旧作を改めて見ると「しずかさんをはにゃせのところ、未知との遭遇かな?」「ギルモアの肖像の目は1984だよな」とか内容にもパロディが多いことに気がつく。そう、パロディなのだよパロディ。わかる?パロディ!!
パピくん
パピって旧作だと10歳ながら大統領であって毅然としてるみたいな感じだったんだけど、新作ではすっごく人間臭いというか、「本当は怖いんです」とか「姉さん!」とか、まあ令和的にはすっごくいいんだろうけど、こちとらそういう「弱い心を出せばなんかみんな深く考察してくれますよね!!!!」みたいな奴には反吐が出るわけで。パピは宇宙人の大統領なんだからもう少し神秘的にやって欲しいなって思うの!旧作での人間くさい部分は全部ロコロコの仕事だったの!
いや新キャラの姉さんは割と嫌いではないのだけど、おれのなかのパピは「ねえさん」とか言わない孤高の存在なのよ。なんだよその髪の毛は毟るぞコノヤロウ。等身大の弱い人間なんてこちとらドラえもんには求めてないんだよそういうのはこの映画では全部スネ夫に乗っかってくるんだよ。パピに怖いとか言わせたらあのスネ夫の神シーンが台無しじゃないか。宇宙小戦争の醍醐味はあのスネ夫としずかちゃんのシーンじゃねえか。ピリカ星に潜入してガチンコで戦争に巻き込まれているドラえもん一行と対比して「戦う」モードに入れなくて怖くて震えてるスネ夫がいいんじゃねえかよ!そこでしずかちゃんが泣きながら「みじめじゃない」と言って「女の子だけを危険な目に合わせるわけにはいかない」って飛び出していくスネ夫。マジこれがいいんじゃん。遠い国の戦争じゃなくて女の子のピンチという自分事になったスネ夫がかっこいいんじゃん。なんで前半で「僕も怖い」とかってパピに言わせんの。そういうのはスネ夫の役目なの。パピは大統領なんだからそういうのはしないの。「でも実は怖かった」とか、そういうのはいらないのよ求めてないのよ二次創作でやってよ。もう公式が二次創作レベルじゃん。ゴールデンヘラクレスの事故から何にも学んでないんじゃん。
あと個人的にパピを戦艦で連れ帰らなかったのは相当なマイナスポイント。あれでしずかちゃんの「パピさんを助ける」の動機が少し失われたわけで。そうすると「あんまりじゃない」の気持ちも半減しちゃうのよ。このまま公式にやられちゃうなんてあんまりじゃない。でもパピは新ビジュアルの時点で死んだと思っていたのでここまでは致命傷で済んでます。
ロコロコ
喋れよ。喋ってくれよ。映画に迎合した一個人の感情なんかどうでもいいから無駄口を叩きまくってくれよ。旧作のウザさが完全に塗りつぶされてんじゃんか。喋る前にロコロコの口を封じるのはセーラームーンで変身中に攻撃するみたいなもんだよ。三ツ矢さんは偉大だった、マジで。ロコロコの口を塞がれたリトルスターウォーズなんてただの宇宙戦争じゃねーか。お手おまわりちんちんロケットの操縦をするロコロコが好きなんだよ。
ギルモア
なんで出番少ないの?もっと登場して小物感を出して欲しかった、とは思いつつ演じてる人が忙しかったのかもしれないなとか思う。出番が少なかったからなのかもしれないけど、旧作と一番違和感のないキャラクターだったと思う、というか演じてる人がガチでうまい人だからなぁ……ゲド戦記は嫌いだけどウサギだけはすげえって思ったんだよ、思ったんだよ。畜生め。
自由同盟とゲンブ
自由同盟周りはほどよく令和にブラッシュアップされてたんじゃないかなあ。ゲンブさんは解釈の余地とか一切いじることの出来ないキャラクターだからあまり心配はしてなかった。自由同盟の構成員に女性っぽい人がいたりアジトのリーダーが割と存在感あったりしたのはよかったんじゃないですかね。ただちょっと暴動のシーンは旧作のほうが好きですね。あんなデモ行進みたいな暴動、ちょっと……やるなら催涙ガスとかそういうのでもう少しいろいろやろうよ。改めて大長編と旧作と比べてみて、旧作の「アニメーションとしての落とし込み」がすげえなと思った。ぶっちゃけほぼ背景でしか表現していないし今思うと手抜きに見えちゃうかもしれないけど、中央に自由同盟がいてその周辺にすごい数の群衆がいるっていう構図が見えて結構好きなんだよね。描いてないものを描ききる、みたいな。それを帽子が落ちることで表現するのもいいよね。
ドラコルル
パピ「悪知恵の働く悪魔のような男です」
?????
パピ「悪知恵の働く悪魔のような男です」
ちがくね?
確かに大長編でも「悪魔のように悪知恵が働き」って言ってるけどさ、そのあとに「情けようしゃのない男」って続くんだよ。ちなみに旧作だと「目的のためにはどんな汚い手でも使う、冷酷で残忍な男」なんだよね。ドラコルルは頭の回転がよくてドラえもんの動きの何手も先を読んでくるけど、決してゴリゴリの悪人ではないと思うんだよ。悪人っていうのは恐竜ハンターとか熊虎鬼五郎とか宇宙英雄記の海賊みたいな奴らで、ドラコルルとそいつらが並ぶかって言うとそんなわけないじゃんと。特に戦争物なんだから、相手を悪者と決めつけるのはいかがなものかと。彼は彼の正義のもとで動いているわけであって、「悪魔のような男」では絶対ないと思うんだよな(個人的な見解です)。
これは声優とかそういう問題じゃなくて脚本チームと自分の解釈が余りにも不一致すぎるところから生じている齟齬であり、いちドラコルルファンとしてお気持ち長文を書きなぐる勢いで「コレジャナイ」感がものすごく強いのよ。
ひとことで言うなら旧ドラコルルは狡猾で、新ドラコルルは冷徹。いや冷徹なドラコルルを公式がそう解釈して新しく作り上げたというのはわかるんだけど、旧ドラコルルの魅力がゴリゴリに削られているとしか思えないんだよね。
個人的な解釈だけど、旧ドラコルルの一番の魅力はその頭脳プレイというよりギルモア将軍すら完全に信用していないところだと思ってるんだよね。ぶっちゃけ今はギルモアに従っている振りをしているだけで、実際はギルモア将軍すら下に見ている。「自分の人気がないのをご存じだ」が大事だし、その上で打算でその時最善の方法を選択している。やっぱり無人機の探知機とかラジコンのアンテナとか、そういうところで戦ってほしかったのよ。それに「泳がせておきましょう」が大事なのであって、今回は令和っぽく大統領を利用しているみたいな感じになってるけど、やっぱりそれは元のドラコルルじゃなくて二次創作のドラコルルだわ。そもそもなんでドラコルルが水泳大会をしなかったのかと言うとパピが大人しく地球で捕まらなかったせいなのでパピ、てめえのせいだ。本当に何で助けたんだろう。なんでそれを良いと思ったんだろう。誰だろう、それがいいと思ったのは。何が令和だ畜生が。
あと新作のドラコルル、悪魔のような男を目指してしまったから情緒があんまり出てなくて「コレジャナイ感」がすごい。これは悪魔のような男を目指してしまった脚本の問題で、演技の問題じゃないと思う。
あとさあ、新ドラコルルの最大の問題点は「悪魔のような男」のはずなのに、「乗組員の安全は保証してくれ」って言うところだと思う。旧作の「信じるものは己だけ」みたいなキャラ設定なら百歩譲って「悪魔のような男」でもいいと思うんだよ。でもさあ、「乗組員の安全を求める」ってさ、そいつは悪魔じゃねーだろ。何潔く降参してるんだよ自分だけ「早く出せ」って逃げようとしようよ。おい脚本チーム、結局ドラコルルってどんなキャラだったの???シブかっこいい名悪役?それとも一本筋の通った情報局の長官?そもそも情報局の長官って一本筋なんか通しているの?一本筋どころか一筋縄ではいかない、みたいな雰囲気はないの?
あとコメディ役の副官が超いらない。新ドラのこういうところは心底軽蔑できる。誰ですかこれが面白いと思っているのは。
その他
なんかあとほかにいうことあったっけ。戦車が変形するところか。
そもそもさ、「宇宙小戦争」のコンセプトってさ、「スターウォーズのパロディ」なわけよ。だから規模も小さいし戦うのは戦艦なんかじゃなくて地球のラジコン戦車なわけ。その地球の戦車がトランスフォームするのはいかがなものかと思うのですよ。コンセプトから外れても「令和だからかっこよくしたいじゃないですか」って、それはリメイクじゃなくてやっぱり二次創作だよ。公式で二次創作をするな。というか、リメイクするなら大魔境くらいちゃんとやってほしい。唯一安心して見られるリメイクだから、あれは。
あとおニューのクジラ戦艦、全体的にのぺーっとしてて個人的に好きじゃない。リアリティ出したいのかドラえもんの世界にしたいのかどっちかなのかはっきりせえよ。
おまけ
旧作を改めて見返して、ドラえもんの「スモールライトがない!」の顔がめちゃくちゃかわいいなと思いました。今では考えられない効果の付け方もかわいい。ドラえもんの作画はこの辺が本当に大好き。
余談
実は「映画ドラえもんの悪役について」というよくわからんノリの記事を書いていたのだけど、あまりにも書くことが多すぎてぶん投げていたんだけどドラコルルを殺されたことでなんかモチベーションが上がってきたのでいつになるかわかんないけど完遂させようかなという気分にはなっています。主に「宇宙英雄記の悪役がヤバい」ということが言いたいだけです。ちなみに個人的に見直して悪人度が高いのは「個人で」「えげつないことする」という意味でアブジル(withカシムたち)、熊虎鬼五郎が強いです。
あと手元にてんコミだけでも全部来たのでなんか特集できたらしたいです。もう記憶に頼らなくていいのはいいですね。おしまい。