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文学部出身が文学部の文章について書く

初手で「ながい」のタグをつけたけど、ここまで文章についてみんなどうこう言うと思っていなかったのでこの増田の文章について書いていきます。

 

anond.hatelabo.jp

 

文章が下手と言われていますが、残念ながらそう見えるポイントが明確に3つ存在しています。

 

一文が長く、読点(、)が少ない

これは見た目の問題。一文が長い割に読点が少ない。読んでいる人は一文が長いとストレスになるので、文の長さを短くするか読点をもっと打つかしたほうがいい。

 

論旨がわかりにくい

おそらく元増田は「文学部は就職がないぞ!」ということが言いたいのだと思う。それなら就活の話に論点を絞るべきで、元増田の自己紹介とか文学部のいいところとかいらない。

 

あとやたら「~な人向けです」「読みにくいかも」みたいなエクスキューズ入れてるけど、入れるくらいならもっとわかりやすい文章に推敲しろ!「字書き初心者なんですー」と言いながらウザ絡みしてくる同人作家じゃないんだから。ついでに「読みにくいかも」と言いながら「文章書くのうまくなったよ!」というのは皮肉以外の何物でもないよ。自己矛盾だよ。

 

言葉選びがひとりよがり

特に印象に残ったのが「ガクチカ」。「ガクチカ」は就活用語で「学生時代に特に力を入れたこと」なんだけど、これはここ最近の就活用語であって特に年配の方には馴染みのない言葉。対象を文学部生の親御さんにしているならこう言った言葉は避けるべき、または注釈を入れるべき。あと自分語りならまだしも、対象読者を設定して特定の主張がしたいのであれば(笑)や(涙)はちょっとお行儀悪い印象があるのでやめた方が無難。

 

添削例

例えば以下の部分。

 

文学部で就活に成功するのは基本スポ薦でゴリゴリ体育会ウェイか授業最低限で長期インターンハマり奴か公務員になろうという意思を持って1年から公務員就職に関する勉強や情報収集をしている奴です。何も考えずに大手受けても普通に落ちます(笑)パンフレットに載っている大手や勝者で活躍している先輩の紹介はマジのマジで一握りです。各大学が出している学部別の「就職先企業データ」をみましょう。何も考えず王手を受けるのはMARCHの文学部では心もとなさすぎます。運動部全国大会系ガクチカ、長期インターンガクチカなどが作れない(作る気ない)けど文学部で趣味の延長線上みたいなことがしたいならとにかく上位の文学部に入りましょう。

 

まずこれだけの文章で読点ゼロ。更に「ウェイ」「ガクチカ」などの専門用語や俗語の使用、そして「文学部の悪口」のはずなのに「上位の文学部に入りましょう」という主張。それから似た意味の文の連続や独りよがりな記述を改めてみると、こんな感じですかね。

 

文学部で就活に成功するのは、入学時からスポーツ推薦か長期インターンを狙う学生か、公務員試験に向けて情報収集をしている学生です。パンフレットに載っている成功した先輩の紹介はほんの一握りで、実態は「就職先企業データ」を参考にしましょう。何も考えず大手を受けるのはMARCHの文学部でも心もとなさすぎます。スポーツ推薦や長期インターンなどの学部外の活動がないと、文学部では就活でのアピールが稼げません。就活で不利にならずに趣味の延長線上みたいな勉強がしたいなら、とにかく偏差値の高い大学に入りましょう。

 

ちなみにこの部分だけでも「それは他の学部でも一緒じゃないかい?」「文学部でも英文科で趣味の現代英語を極めて通訳とか翻訳者になるパターンもあるよ?」「学芸員になるため考古学専攻するのは?」などツッコミが多い。

 

改善案

以上のように、主張そのものより文章の構造に問題点が多くなかなかイライラする作りになっている。そこでいくつかの改善案を提案します。

 

文は短く、簡潔に。

もうこれ。主語述語だけでいいくらい文を短くしろ。特に誰かに見せたい文なら、しっかり推敲してパラグラフきちんと整えましょう。それから()はなるべく使わないようにしよう。それは(別にどうでもいいけど)このように(そのようにではない)何書いてるか(描くじゃダメなの?)わからなくなるからだね。誰かに見せる文章ならしっかり言い切ろう。

 

先に論点を箇条書きにする。

この文章の最大の難点は論点があっちこっちに飛ぶこと。これを防ぐために、まずは書きたいことを箇条書きに書き出す。この文章には三つの内容が混在しているので、分けてみます。

 

「文学部は就活に不利である」

「失敗した経験談

「成功した学生の例」

「以上のように文学部は就活で不利である」

 

「歴史は大学で勉強するな」

「文学部の勉強は実生活で役に立たない」「歴史を学ぶ意義とは」

「今はネットで調べられるからわざわざ大学に行くな」

 

「MARCHとか下流

「スポーツウェイや意識高いインターンうざい」

「ぼっちに就活はキツい」

「もっと偏差値高い大学行けばよかった」

 

さて、元増田はどの主張がしたかったのだろうか。この方向性が見えるだけで断然読みやすい文章になると思う。

 

余計な話はするな。

これは個人的な印象ですが、雰囲気で教職について語ってるのはブッブーですね。せめて途中まで教職科目とってたとか、教育実習まで言った友人から聞いた話などがないと説得力皆無の悪口でしかないです。あのね、教職は偏差値よりも現状は「理不尽を楽しめるかどうか」なのよ。

 

この部分がなければこの記事は書いてないと思うので、元増田は普段から言わなくていい余計なこと言って誰かを怒らせてないか気になります。

 

そもそも教職と文学部関係ないし、一体何のためにこの下りが出てきたのかと推測すると、やはり元増田が書くこと決めないで書いてるからだろうな。「文学部の悪口書くぜ!俺はダメなやつだ!就活最悪だぜ!そうだ、ついでに教職についても書いたろ!」という感じだったのではないだろうか。文章は構成と計画性大事よ。

 

最後に元増田へ

広告やるなら様々な人がいることを想定しないといけない。特にこういう文章を書くなら対象を絞ってその対象が必要とする情報のみを削ぎ落としたものを掲載するべき。もちろん自分の好きな文章を書いてもいいけど、タイトルは「自分語りです」にしておくべき。この増田が燃えた一番の原因はそこで、タイトルで「お、文学部の悪口が書いてあるのかな」と思ったら文学部は全く関係ない増田の自虐風自分語りだったことが判明して「なんだいなんだい!」となったのが大きい。

 

あと個人的な所見なんだけど、全体的に真面目に歴史を学んでいる学生に対して超失礼。おそらく元増田は自虐癖があって「実は俺最低な奴なんですよ~」というような言い回しをする癖でもあるんじゃないかと思うくらい、自分を悪く言いながら学問そのものをdisってる。この自虐風周辺disは最後にエクスキューズ入れればいいというものでもない。

 

とは言え

「ナァ」「ロム専」あたりのワードチョイスが絶対就活生じゃないだろうというあたり、追記が「爆釣り乙」にしか見えないのも事実。釣りならオメェやるな。よくこんな中身のない絶妙にイライラする長文書けるなーマジで。特に似たような文を連続させる所とか「王手(これはおうてなので大手でタイプミスは考えにくい)」とか。MARCHでうんたら、という学歴コンプを狙ってたんだろうけどMARCHとかどうでもいい文章の前にみんなMARCHを忘れているよ。何か元ネタでもあったのだろうか。爆釣りおめでとう。おしまい。