個人的にやべぇ状態に入っていたので夏休みの記憶があまりないのですが、書いたものがあるので今更ながら振り返っていきます。「気がする」が多いのは思い出しながら書いているせいです。
赤青黄 シロップこぼした夜の海をひとりじめする二百五十円
「を」入れるか入れないかで迷った気がする。字余りの唐突さと「ひとりじめ」だから独占欲が感じられた方がいいよなぁということで「を」が入っています。
階段の上で待ってる鼻緒から覗く素足に咲く絆創膏
夏祭りで見かける「草履に絆創膏」が愛しいというのは「しばわんこ」に出てきた気がする。
手の平の中で踊れ よんよんと上下に回る水の惑星
ヨーヨーすくいが好きでした。あの何とも言えない水風船の柄も頼りないこよりでヨーヨーを持ち上げなければならない不安定さも、しゃがんで隣の子と腕がぶつかる気まずさも合わせて、あの小さな世界に入っている気がする。あの瞬間だけ、世界を全て支配している気になる。なんだったんだろう、あの万能感は。
水槽の外の世界や朝日すら知らないぼくらカラーひよこ
ぶっちゃけ「知らないぼくらカラーひよこ」の語呂だけです。カラーひよこを知らない人は調べてみよう。
白い手を何千本もかき分けてやっと見つけた黄色いミサンガ
別に黄色くなくてもいいんですけど、ミサンガって緑と赤と黄色のイメージがあるのです。夏祭りに来る人の腕は白いのだろうかとかそういうことは考えた気がする。
「目印になるからつけて」と渡されたひやりと重い蛍光腕輪
これはしっかり覚えている。蛍光腕輪ってだいたい一晩くらいしか光らないんですよ。だけど値段は高いし何より重い。それに「腕輪」をプレゼントとかかなり束縛してきています。実際アクセサリープレゼントってそういう側面があると思うんですね。それはそれで嬉しいし、逆に感じるときもある。果たしてこの歌ではどうだったんだろうか。ひんやりしているから、あんまりよくなかったんだろうなぁ。
帰り道 何かあるような期待して何もなかった百日紅の前
万能感丸出しで押しつけがましい腕輪なんてプレゼントしちゃったら、多分何にもないと思うんだ。百日紅は愛しい人を待ち続けてそのまま亡くなってしまった女性の生まれ変わりなんて言われているけれど、現代ではどうなんだろう。
本当に頭がいっぱいいっぱいの状態でゼロからネタを作った多分今まで書いてきた奴の中でトップを争えるくらいの「何も考えてない」作品。どの辺が何も考えていないかと言うと、安直なオチのあたり。
一応書いておくと、この話は「意味が分かると怖い話」に分類されます。いろいろ怖いと思われる描写が続くんだけど「気のせいだった」で話が進んで、「やっぱりお化けはいなかったんだ」って安心させておいて「あれ……?」という作りです。その「あれ……?」をさせたいために非常に浮いたシーンになってしまったのが残念です。ランチの伏線を前半に出せておけばよかったんですけどね。(以下ネタバレのため反転:主人公は「ゴキブリを殺した」としか言っていないのに、どうして新人の男の子は「玄関にゴキジェットがある」なんてわかったんだろう)
カクヨムなどで怪奇的なネタは大分絞り出したのでなかなか出なくなっているようです。今年の夏は意識して「怖い話」を読むようにしていたんだけど、あんまりインプットできなかったみたい。来年までにしっかりインプットして出直してきます、以上。