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日々の仕事にくたびれたオッサンのための映画『シュガー・ラッシュ』

 何が嫌いかより何が好きかを語れよなんてよく言われるので、好きな映画の話をしようと思います。でも、そんな記事がよく読まれた試しがないですね。読まれているとすれば優れた記事なのか、何か水増しが起こっているかのどちらかです。みんな他人が嫌いなものを求めているのかもしれません。

 

 

 で、ディズニーっていうと最近は「アナ雪」の独り勝ちみたいになっていているのですが「アナ雪」より前のこっちの映画の方が自分は断然大好きです。ゲームの中のキャラクターがあちこち出入りしていると言う設定やお菓子の国のレースゲームのシーンは何度見ても遊び心がいっぱいで楽しいし、何より「子供向けに見せかけたガチの大人向け映画」というところが素晴らしいです。日本の主題歌がAKBだった? それはまぁ、そうですね。

 


映画『シュガー・ラッシュ』予告編

 

 ザンギエフが何故悪役なのかって? それは、まぁそれだ。

 

仕事と役割

 この映画のテーマは「仕事」で、主人公のラルフは懐かしゲームでマンションを破壊する悪役のポジション。しかし、悪役であることでゲームの中の人間関係にうまくいかない。せっかくのゲームの記念日のパーティーにも呼ばれず、ついに「主役の証のメダルを手に入れる」と宣言して他のゲームに行ってしまう。そして何とかメダルを手に入れたけれど、いろいろあって迷い込んだのがお菓子の国のレースゲーム「シュガーラッシュ」だった、というのが大体のあらすじ。

 

 ここでキーになるのが、ラルフのゲームの主役のフェリックスだ。彼が父からもらった魔法のハンマーでラルフが壊したマンションを直していくというのが彼の仕事で、ヒーローの彼はゲームの中では人気者だ。ゲーム内で嫌われるラルフだけど、彼だけはラルフのことを気遣っていた。ところがいなくなったラルフを追いかけているうちに彼も「役割」というのを嫌と言うほど実感する。実際はコメディタッチなのに、そのシーンが本当に良くできているのでそこだけでも見てほしい。

 

 例えるならジョン・ラセターつながりで『トイ・ストーリー』でバズが自分が何者であるか気が付くところにとても似ている。自分の世界だけで必死に空回りしてきて、ふと周りを意識した途端に自分が今まで何をやって来たのかって気が付いて、そして急に冷めた感情になる、ジョン・ラセターの作品によくあるアレなんです。この系統の展開だと学生くらいに向けた『モンスター・ユニバーシティ』なんかも秀逸なのですが、『シュガー・ラッシュ』はこの辺の感情がかなり大人向けに出来ていて、完全に「仕事」の話になっている。

 

「毎日の仕事がつまらなくてイヤだ」

「本当の自分はこんなところで終わる人間じゃない」

「社会の歯車なんかになりたくない」

 

 一連のシーンはそんな感情をぶん殴ってくる。最近のブラック企業の極端な働き方などは置いておいて、世界というのは「みんな」で「役割」を持って成り立っている。誰かが欠けてもいけないし、「役割」のある人が「役割」を責任もって行うことが大事だ。そんなことを教えてくれるのがこの『シュガー・ラッシュ』だ。

 

それにしても楽しい小ネタ集

 そういうテーマを抜きにしても、「ゲームが好きだ」と言う人には最初から最後まで楽しく見ることが出来るのでおススメです。そしてゲーム以外にも「お菓子」ならではの小ネタも盛りだくさんです。最初に見るときはこの小ネタにばかり目がいってしまって、肝心のストーリーにどっぷり浸れないという事態になりかねないくらい、小ネタが多すぎる。つまり買うなりレンタルするなりでもう一度見ろって言うことですね。出来れば小ネタの確認は、一度本編を見てからの方が楽しいでしょう。

 

シュガー・ラッシュ - Wikipedia

 

そんな『シュガー・ラッシュは』22日に地上波放送

 ……という記事を途中まで書いて放置していたら、本当に偶然に地上波で放送することが決まったようで、慌てて仕上げました。みなさんこの機会に見ましょう。そんで大人の人はエンディングまで泣かないでください。スタッフロールが最後まで放送されるか微妙ですが、最後の最後までネタが仕込んであるので、できればスタッフロールも最後までやってほしいなぁ。

 

ディズニー映画「シュガー・ラッシュ」、4月22日に地上波放送! - ねとらぼ