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さよならドルバッキー

この世の裏を知ったドルバッキーは世を儚んだ。

邦画は本当につまらなくなったのかについての雑感

 多分つまらなくなったのは本当だと思う。ただ、つまらなくなったのは映画だけじゃなくて、きっと観客もつまらなくなっているんだと思う。以下愚痴っぽいアレです。ちなみに進撃の巨人は原作も合わなくてロクに読んでないです。

 

今の日本映画にもの申す…「レベルが本当に低い!」 英映画配給会社代表が苦言 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

いろんな映画を最近ゴールデンで放送しないよね。ジブリか刑事ドラマ系か最近流行った洋画くらいしか。結局午後ローか深夜枠じゃないといろんな映画観られない。だから観客が育たないのかな。

2016/04/10 12:58

 

 要は「映画を楽しむ人」っていうのが少なくなったのが原因じゃないかなって思ってる。よく言われるんだけど「2時間もじっくり見ていられないよ」っていう層が増えたんだと思う。映画館のスクリーンでド迫力な演出を楽しんだり、小津的な時間や空間の広がりをじんわりと体感なんていうのはその文脈を理解している人だけで、他の国ではわからないけれど日本では映画というコンテンツそのものがコンテクストを共有できない人に対して受け入れができなくなっているんじゃないかって思うの。

 

 実際話題にならないけれど面白い邦画もたくさんあるんだと思う。でも、その「面白い」と「話題の」が切り離され過ぎているのではないかと。実際TVのCMに登ってくるのは話題のマンガの実写化かアイドルが俳優をやっている映画のどちらかでいわゆる「話題作り」の面が大きい。つまり「映画製作サイドが考える観客が映画に求めているもの」が「主演俳優の顔」だったり「ヒット作の安牌なストーリー」だと仮定しているからこういうすれ違いが生じるんじゃないかと思っている。

 

 そもそも映画を見ていない人は、映画をどうやってみればいいかが分からない。地上波で定期的に映画を放送している9時からの枠も減った。もはやテレビで映画を見るにはBSにするか午後ローか深夜の映画天国でも見るしかない。しかしテレビ東京系列は地方ではほとんど映らない。これでは映画館に来てもらう前に120分くらいテレビの前でじっとしている習慣がつかない。「CMの間にトイレ!」とか「映画の続きが気になるけど、眠い」とか、そういう映画というものに触れる経験がないから最初から映画に興味がもてない。

 

 なんでもそうなんだけど、良いカルチャーを育てるにはその受け手に対してある程度の知識がないと何にも育たない。良い映画を作りたかったら、その映画を「良い」と言えるような観客をたくさん育てないといけなかったんだ。日本のトレンディドラマも結局「良い」って言ってくれる人の目線に立ち続けた結果、「誰が見るんだこんなの」っていう企画ばかりになりつつある。

 

 そうやっているうちに「何が面白いか」という問いが消失して、残されたのは観客ではなく「ウケた漫画」だったんじゃないかなぁと最近のマンガ実写化の流れで思っています。脚本家も「この企画は面白いと思います!」って売り込むけど、「視聴者が面白がらない」としてゴーがかからない。結局、何をやっても「つまらない」ということになる。つまらないのはテレビ局だけの責任でもないだろう。

 

 何だかんだ言っても、昔の金田一耕介の映画を見ているとやっぱり面白いんですよ。「絵や演出が古臭い」というのも、「これは映画」という文法の上でみると何だか許せてしまう。だけど、それを今の時代にテレビで放映したら、やっぱり誰も見てくれないんだろうか。石坂浩二が死んで追悼特集にでもならない限り、無理だろう。

 

 漫画もアニメもそうなんだけど、過去の知識があるから新作が面白い。だけど、「そうやって知識マウンティングばかりして!」という批判があってから誰もが「それについて知るのは恥ずかしい」という風になって、結局誰もそれの面白さについて知ることができなくなってくる、という感じになっちゃうんじゃないかな。本気で邦画を盛り立てたいなら、これから映画を楽しんでいく中高生が楽しんでみられる漫画原作ではない映画を作るべきなんだと思う。漫画原作の映画ってわかりやすいんだけど、誰に向けているのかわかりにくいと思うんだ。「漫画好きなら好きでしょ?」っていう企画の投げやり具合が透けて見えるのが何だかなぁと思ってしまう。その点、「みんなが好きだと思うから」ではなく「これをどうしても実写化したいんだ!」って作り手が熱量を込めているのは面白いと思う。変態仮面とか。

 

 あとは本当に個人的な話なんだけど、映画に限らず最近の日本の実写映像って演出が微妙だなぁと思う時が多い。特に最近強く感じたのは『暗殺教室』の予告映像。正直予告だけならもっといい映像があったんじゃないかと思ってしまう。

 


映画『暗殺教室』予告編

 

 原作未読だからこそ言える話だと思うんだけど、何度見てもこの予告で「この映画面白そう!見たい!」にならなかった。理由はただひとつで「なんかモサい」から。他の映画を見に行ったときに予告で見ただけだったけど、なんかモサいのが非常に印象に残った。

 

 たった数十秒のシーンなのに「えっ暗殺するのにモデルガン振り回してる!?」とか「銃の発射音がぴしゅぴしゅってこれでいいの?」とか 「銃構えているのに役者、なんか全身ふらふらしてない? 弾当たる訳ないじゃん」とか、諸々ハテナマークがたくさん浮かんできてしまってもうダメだった。なんとなくあらすじを読んで「ああみんな素人なのか。いや、素人にしてもあんなぴしゅぴしゅで殺せると思っているのだろうか……」とやっぱり疑問符だらけに。どうやら原作のページを読まないとあのシーンは「実写化」として補完できそうにない。単純に言えば、この予告だけでは映像に説得力がなくて、本編も全部「ただ俳優がぴしゅぴしゅしたアクションをするコスプレ映画」なのではないかと思ってしまう。だから「面白そう」とは思えないということだ。

 

 漫画の実写化の難しいところは、下手をすると原作読者の脳内補完に頼りがちなところだ。ぶっちゃけ『暗殺教室』のこの予告は人気コミック原作という梯子を外すとものすごくしょぼい。だけど『暗殺教室』という原作と俳優の人気によって興行収入がある。いいのだろうか、そんなことで。「暗殺教室を見に来る人はアクションの質なんか求めていない」っていう声もありそうだけど、それこそ映画製作の怠慢と言うか観客を下に見ている驕りなんじゃないかと思う。役者の原作再現度が素晴らしい、という評価が多かったので全くつまらないということはなかったんだろうけど、それならあの予告は「原作見た人以外は見なくていいよ」っていうことだったんだろうか。何だか納得できない。「何がスペクタクルじゃぁ!」と言う感じだ。

 

 もうこの予告に関しては、単なる切り取りのセンスなんだと思う。全く緊迫感のない映像を予告にして伝えたいことが見えてこない。予算の都合があったとしても、もっと「良く魅せる努力」が出来たと思う。そりゃいろんな予告でハリウッドの火薬マシマシボカーンな映画の次にこれが来ちゃったら、しょぼく見えるのは間違いない。そういうことを制作側は考えなかったのだろうか、とかそういうのが透けて見える。繰り返すけれど、これは予算の都合ではないと思う。単純な「魅せ方」の問題だ。つまり、「つまらない」ってことだ。

 

 そう考えると「ジャンジャンジャジャンジャンクロード」ってすごいキャッチコピーだよなぁと思う。映画の中身とかよくわかんないけど、何だかすごそう。そんな熱量を持ったムーブメントがあれば、また別なんだろうなぁと思いながら非常に冷めてしまった気持ちが憎らしいです。おわり。

 

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