あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

ドラえもんに関する果てしない妄言4

今回で終わります、多分。


前回のあらすじ

ドラえもんスタッフの感性と相容れない。

 

nogreenplace.hateblo.jp

 

わさドラのここがなんか嫌

最初にも書いたけど声優が嫌いなわけではない。強いて言うなら「演出」がなんか嫌だ。


藤子・F・不二雄先生の漫画の特徴として「無駄のない展開」というものがあると思う。ドラえもんに限らず極限まで削ぎ落としたみたいな話の骨をバーンと豪華に見せる、みたいなところがある。ドラえもんも例に漏れず、メタな手法なども用いて非常にテンポの良い運びになっている。


では新ドラえもんはどうかというと、テンポの面でどうにも「違うだろ!」みたいに足踏みしているようなところがあると思う。特に「のび太の恐竜2006」のティラノサウルスと基地で会うシーン。いやいらねえだろあんなおふざけ。何でああいう追加シーンを入れたのか?差別化するため?子供向け?それこそ子供舐めてない?そんな疑念に塗れて新ドラえもんが始まった。つまり新ドラえもんを最初から信用できなかった。無印良品の展示品にドンキホーテのPOPを付けたみたいな違和感と言えば伝わるかな。


その点「新・大魔境」は追加のシーンこそあれ基本忠実に話を進めていたところがよかった。「原作通りでよかった」という感想が結構あったので、やっぱり改変を苦々しく思っている層も割と厚いのではと思ってる。よかれと思って改変するけどそれがウケないのを覚悟してるかと言うところが毎回微妙だなと思ってる。


あと全体的に映画もだけど、「これを出しておけばファンは喜ぶだろう」みたいなあざとい小ネタが拗れたファン的には全体的にはずしまくってて辛い。個人的に気に入らないのは原作ではモブでしかなかった安雄とはる夫がなんか毎回絡むのマジでやめてほしい。モブはもう少しモブの顔をしろ。あとしずちゃんの友達ももう少しモブ感欲しい。モブを「わかってますよ」という顔で出してモブ感を潰してるとしか思えない。


個人的にモブ潰しは「月面探査記」の冒頭がひどい。マジであの冒頭はひどい。月面探査はあのシーンでドラえもん感が当社比2割減くらいになってる。天国のある雲はどこですかくらいのインパクトを狙ったのかもしれないけど、なんか違うんだよアレは。あと月面探査の地底人のフォルムがなんかもうなんかアレであれはアレでかわいいけどなんか違うんだよもう。


まとめると

さて長々と、本当に長々とやってきたけど結局何が言いたいのかと言うと「どこ向いてドラえもんやってるのかイマイチわからん」というところが嫌なのだと思う。新ドラになってから特に映画で「親子の愛」みたいなのがたまにあるけど、それってドラえもんでやることなのかなっていうのがすごーくすごくあって、ひみつ道具の兼ね合いで「親子の愛」をやるのは別に構わないんだけどわざわざ「親子の愛をやろう!」ってスタート地点にするのは違うだろうと思うのよ。


何故なら「親子の愛」で感動するのは親世代であり、ちびっ子ではない。でも宝島とかいう「親子の愛」起点の映画が出てきているということは、もうドラえもんは親世代にアプローチを変更してきているということなのだと思う。主題歌を流行っているアーティストに頼んだりゲストに有名人を起用したり、お話を作るというより「いかに売れるか」に重きを置いている気がしてならない。藤子・F・不二雄特有のテンポのいい展開を切り捨ててわざわざオリジナルギャグを挟まないと気が済まない人たちなんだもん。


それが顕著に出ているのが「ゴールデンヘラクレスオオカブト」というドラえもん映画史上最大の大事故のアレだと思う。真面目にね、ドラえもん映画がどうこう以前に映画としてもどうかと思うのね。普通に考えてさ、「モアよドードーよ永遠に」を下敷きにしているのにモアもドードーも序盤しか出てこないで島作りのワクワクも特になく、何故かオリジナルキャラがたくさん出てきて急にゴールデンヘラクレスオオカブトという訳の分からない存在が現れて、タイムパラドックスネタなのに時系列ちゃんと描写しちゃってるから時間移動ネタの良さを最大限殺しにかかってるし、タンキくんがやりたかったのかなとも思うんだけどじゃあモアよドードーよは当て馬かよ!と怒りを顕にしないでもない。そしてトドメは脈絡なく「家族大事だよね」って話が始まるところ。知らねえよ俺はモアよドードーよが見たかったんだよ。カブトムシ戦車はカブトムシ戦車の回でやってくれよ。モアよドードーよはどうしたんだよ。やるやる詐欺レベルだぞ。おい責任者出てこい。戦争だ。


本家ドラえもんにも「親子の愛」テーマの話もたまにある。思い出すのは「のび太のなが~い家出」とか「野生ペット小屋」とか。家出のほうはギャグありき*1だしペット小屋も個人的に親子の愛だと思ってるだけで主題は「のび太の恐竜」のリテイクだし。「僕の生まれた日」?あれは天丼ギャグだろ。


そうするとまた一番最初の「感動するなあ」になるんだけど、「感動」という言葉をメインにするのはやっぱり違うんだよ。例えば新恐竜の番宣もなんかのび太が叫んでるところばっかりで「ここ泣かせるとこですよー!」みたいな露骨な部分を取り上げるけど、映画ってそういうんじゃないでしょ。番宣はもっともっと恐竜のワクワクする部分を全面に出していかないと。映画のメインは「恐竜」であって「成長」はその次なの!!!魅せたいのはあくまでも恐竜なの!!!!その辺が「保護者向け」だって思うのだ。


また最初に戻るけど「泣ける」のは「泣く予定がなかったから」の方がインパクト強い。美女と野獣の実写でまさかあんなエモい追加シーンが入ると思わなくてハンカチの準備なんかしていかなかったよ。だからこそあの追加シーンが非常に印象に残ってる。非常に丁寧なリメイクだったと思う。それに引き換え新ドラえもんは……もうやめよう。疲れた。

 

そろそろエンディング

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どんなに嘆いても先生は帰ってこないし走り出した商業主義は止められない。商業主義に染まったドラえもんドラえもんと認識する子供たちに罪はない。ドラえもんはおもしろいもんな。うん。


そんなわけで長々とやってきた今回の話。
最初は前後編にするはずがどんどん長ーくなってきて止まらなくてこの有様です。今から宇宙小戦争に期待は全くしていません。また新恐竜みたいになんかやらかしていたら起こしてください。それでは。

 

 

パラレル西遊記の音楽大好き。主題歌の入りが素晴らしい。

 

*1:120分もいないんですよとかのび太が3時間半ぶりに帰ってきたんだってという台詞が全ての作品だと思ってる。