さよならドルバッキー

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インターネットは人類に早すぎた

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ネット弁慶殺人事件の事実をうけ、私たちが真剣に考えるべきこと(徳力基彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

ネットリンチという言葉が当たり前に使われているけれど、どうすればそうなるのか、そうなるとどうなるのかというノウハウはほぼ共有されてなくて、多分その辺に明るかったのがhagexさんだったよなぁ。

2018/07/19 10:22

 

 この事件が話題になってから急に「ネットリンチ」という言葉がたくさん使われ出した。もちろん言葉自体はずっと存在していたけど、事件が事件だけにメディアの報道やそれを見た感想などでも「ネットリンチ」という言葉を使わざるを得ないという感じになっている。だけど、そのうちどのくらいの人が「ネットリンチ」という概念を把握しているんだろうかと思ったら多分ほとんどの人が感覚で使ってるんじゃないかと思う。明確な定義なんてないとは思うけど、それにしてもふわっとしすぎていて腑に落ちない。

 

 そもそも、「ネット炎上」という現象に対しても「なんかよくない行為」くらいにしか思っていないんじゃないかと炎上を表現したメディアなんか見ていても思う。「イメージの炎上」と「実際の炎上」の乖離については何度か書いてみた。

 

nogreenplace.hateblo.jp

nogreenplace.hateblo.jp

 

 さて、「ネットリンチ」になるとおそらく「ネット炎上」と同義語で使うものだと思う。それに「一個人に対して多数が罵詈雑言を投げつける」というイメージが追加されている印象だ。そういう炎上例もあると思うけど、現在起こっている多くの炎上に「一対多数」という図式はあまり見られず、「一個人対一個人(多数)」というのが多いんじゃないかと思う。「インターネットの1000回怒られシステム」というのが一番しっくりくる。

 

togech.jp

 

 リンチというからには「示し合せて」「よってたかって」「いじめる」というイメージがあるけれど、ネット炎上の場合は「個人の判断で」「個人的に」「反対の意見を表明する」ということが同時多発的に起こって、結果として「よってたかって」という印象を生んでいるんだと思う。中には「なんとなくみんなが叩いているから叩こう」という輩もいると思うけど、基本的に「この意見はよくないからみんな聞いて」というスタンスが広がりやすく、リンチをしているつもりは一切ないと思う。

 

www.buzzfeed.com

 

 例えばこの事例だと、「妊婦は救急車を使うな!不正利用だ!」ととある産婦人科医がツイートしたことが発端で「状況次第で救急車を使うのは当たり前」とか「事前に指導が入るはず」というツッコミが各方面から入り、その後該当のツイートが削除されてもしばらく「救急車を使うのは正当なこともある」という意見がTwitterに溢れていました。

 

 これを「ネットリンチ」や「ネットいじめ」と捉えることも、できなくはない。最初に呟いた産婦人科医にすればほんの個人の見解のつもり(多分)であって、ここまで大事になるとは思ってなかったと思う。そしてこの意見に反対した人も「リンチ」や「いじめ」をしたと認識していないと思う。ただ個人の反対意見を言っただけ。

 

fujipon.hatenablog.com

 

 そう考えると「(炎上や刃傷沙汰などを防ぐために)はてなブックマークを廃止するべき」という意見では不十分だなぁというか、結局「無意識にいじめと思われるような現象」が起こり続ける限りはてなブックマークを失くしても意味はないかなと思うのです。はてなブックマークの代わりにそれがTwitterだったりニコニコだったりになったりするわけで。例の弁護士の事件などを考えるともっとするべきことはたくさんあると思うんだよね。LINEあたりでグループから仲間外れにしたりするのは「ネットいじめ」だと思うけど。

 

 でも気持ちはわからないでもないというか、はてブからの集中攻撃は受けたことのある人じゃないとやっぱりあのイヤーな感じは伝わりにくいかなと思う。「お前読解力残念だな」とか「何を根拠のないことを」とか思うことはあるけど、それははてブのせいじゃないと思ってる。はてブを通しているから「はてなブックマーク」という意思がある気がするけど、その向こうにただ個人がいるだけだ(明らかにbotだろうというのもあるけど)。

 

 冒頭の銃規制の話と同じで、最初から、自分の結論ありき、なんですよね。
 相手の話なんて、もともと聞くつもりはない。
「自分にとって大事であること」「過去にこんなに役に立った、ということ」をまくしたてるだけで、不都合なところを指摘されても、「それを含めて総合的に判断する」ということができない(あるいは、するつもりがない)。
 世の中のほとんどの事物には、メリットがあれば、デメリットもあるはずなのに。
 これでは、「議論」にならないし、「改善」もすすめられない。
 ただしこれは、反転してみると、僕も「言われる側の感覚や被害者意識」に凝り固まっていて、存置派の話をまともに聞こうとしていない、ということではあります。

 

 これははてブに限った話でなくネットリンチをめぐる状況も同じで、結局「議論」も「改善」も誰も求めてなくてただ言いたいことを言っているだけ。言ったところで仕方ないけど言わずにはいられないという人もいれば、本気で相手に忠言をすれば事態は良い方向に流れると思っている人もいて、それぞれがぐちゃぐちゃに主張しているのがたまたま数の違いで「炎上」に見えているだけなんだろうなと思う。

 

 意外とネットで起こる騒ぎに悪意が絡むことって少なくて、大体は誰かの意見の延長上に善意からくるたくさんの同意見がくっついていることのほうが多い。そしてそれはネットじゃなくてもよくある話で。

 

 よくある話だからこそ、こういった悲惨な炎上やネットリンチを防ぐためにはネットを使う人全てが「自分の意見は誰かの刃になり得る」って自覚し続けないといけないんだと思う。じゃあそれが出来るかと言えば、まぁ無理だろうと思う。それが出来れば戦争なんて起きていないし、みんな諸手を挙げて核兵器だって廃絶できると思う。

 

 じゃあお前はどうなんだ、と言われればうまく使えている自信はないしこれでいいのかと手探りでいろいろやっているところかなと。どこかの超人類が人類からネットを取り上げるか、なんかすごい発明で全ての人間が心穏やかに暮らせるまでとりあえずこのまま使い続けるしかないのかなと、諦念のような何かを感じています。少しでも状況が良くなる日は来るのかな。