あのにますトライバル

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デマについての雑感

 何故かここ数日デマが蔓延している。災害が起きると不安定な気持ちから早急な情報を求めたがるとでもいうのだろうか。

 

「日テレ24時間テレビで両脚マヒの少年に対する虐待シーンがあった」はデマ - chBBplus’s diary

「台風10号ちゃん日本好き過ぎ」デマ予報図が拡散 TBS「私どもが放送したものではない」

 

 他にもここにリンクは載せないけれど、芸能人の起こした性的暴行事件の被害者と思われる偽物の画像も出回っているようです。また記憶に新しい「貧困JK事件」も扇情的な感想が付いて「NHKが事実を捏造した」という類の情報は尾ひれがついたデマと言ってもいいだろう。

 

 少し考えれば「テレビカメラが回っている前でぶん殴るなんてあり得ない」「海の上を進んでいるならともかく陸に上がって台風がまた戻ってくるのはどうかと思う」とタイトルだけで扇情的なものはまずデマだと思って間違いないと思うのです。流石に大手新聞社やニュースサイトが真偽の定かではない情報をばらまくということはないと思うのでその辺は信用していいと思うのですが、それ以外の特にまとめサイトと呼ばれるものの情報は一度「真偽保留」にしたほうがいいと思うのです。大手からの発表の後に「本当だったんだ」と思えばいい。今すぐに「コイツ悪い奴!」とSNSで拡散させなくてもいい。まずは「信頼できる情報筋」からの話がない限りほとんどの話は嘘だと思った方がいいと思うのです。

 

 以下余談。

 

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 この「真偽不明」な情報を捌く能力と言うのがこれからのネットの世界で必要になってくる。ところがネットの利用が広まれば広まるほど見分ける能力がなくても簡単にネットに接続できて、変な情報を拡散させてしまう。「ネットには真偽不明な変な情報ばかり転がっている」という前提を持たせるのが一番なのだけれど、それは今となっては難しい。

 

 自分が初めてネットで出会った「真偽不明」の情報は、チェーンメールだった。これからする話はケータイ電話のアンテナが光っていて写メを送るのがスゴイとされた時代の話です。

 

 当時は高校に入学して初めてケータイを買ってもらえる子が多く、ウチも例外ではありませんでした。初めて手にする端末に心を躍らせ、メールをやりとりしていたものです。中学を卒業して離れ離れになった友達と再会して、まず行うのがアドレスの交換でした。

 

 そんなあるとき、中学の同級生が泣きながら「変なメールが届いたけれど私は誰も殺したくないどうしよう」と言うのです。詳細を尋ねると以下のメールが届いてパニックになったようでした。

 

ごめん。。。
怖いよぉ。。。こんなの送っちゃってホントごめん・・・。

11/22(土)に兵庫県姫路市港区住吉台で橘あゆみという19才の女性が
何者かに襲われ暴行をされた後、顔がぐちゃぐちゃになるぐらい殴られ下腹部を
めった刺しにされ殺害されました。
それはわたしの友人です。彼女は妊娠3ヶ月でした。
遺体からはそれぞれ違う精液が見つかったということです。
おそらく何人かの男がレイプしおもしろ半分に子供を宿した彼女の中に精液をかけ無残にも
その下腹部をめった刺しにしたのだということでした。
・・・許せない!彼女とおなかの子供、二人を殺した犯人たちを同じように
それ以上痛めつけ殺す・・・・そう決めました。
パソコンのプログラムの処理から犯人と思われるやつの名前をリストにしそれだけでは
なかなか見つけられないのでメールにより検索し怪しいやつはみんな殺す計画をたてたものです。
このメールを見たら必ず24時間以内に●人に回して下さい。
パソコン、携帯、ピッチそれぞれの位置情報からメールをとめたやつの居場所をつきとめ怪しいと判断した場合殺す・・。
探偵事務所の最新パソコンによりメールを回したことを確認できるようになっています。
信じる信じないは自由。
このメールをあざわらいとめたばかな男がとおり魔に下腹部と男性部分を八つ裂きにされ殺されました。
同じ日に若林区河原町で二人の大学生が同じように頭を割られぐちゃぐちゃになるぐらいえぐられ殺されました。
プログラムは止められません。
もしメールを24時間以内に送れば私のプログラムセンターから連絡のメール
または携帯などは非通知でワンコールで知らせます。
その連絡がくればあなたはリストから解除されるわけです。もし送らなかったら
時間の三時間前に二回コールします。
二時間前にワンコールします。たとえ女だとしても同じです・・・
現在標的は680人うち被害にあった標的は14 人・・更新中

http://www.chenme.com/kowai/12.htm(出典)

 

 このメールは今でこそ有名な「橘あゆみのチェーンメール」ですが、当時はそんなことはわからず、ティーンはチェーンメールに踊らされていたのです。しかも丁寧に友達に送られてきたバージョンには画像URLがついていて、開くと青白い顔の女が出てくるものになっていました*1。よく読めば前半のやたらとおどろおどろしい内容と反対に後半は「探偵事務所の最新パソコン」とか「私のプログラムセンター」とか割と頭の悪い単語が並んでいておかしいのです。それにそんな惨殺事件があれば警察が発表するだろうし、「たとえ女でも」って相当意味不明です。それでも「こういうメールには嘘がある」ということを知らないと文面だけ見て「どうしよう殺されちゃう」ってなってしまうわけです。

 

 それからチェーンメールのことを話して「イタズラだから安心してもいい」「どうしても不安だったら自分に転送してくれ」と言ってそのメールをもらいました。その頃自分は「この手のメールはどのくらい種類があるのだろう」と思って「だれかに回して」というチェーンメールが来たら回してくれと友達に頼んでコレクションしていました。当時はメールをPCに転送するなんてこともなかったし、その後ケータイを買い替えたきりそのデータは見れなくなってしまったのですが、結構な数があったのを覚えています。

 

 覚えている限りだと、多かったのは「恐怖系」と「情報を回して系」です。恐怖系は恐怖心を煽って送信させていたのですが、「情報を回して系」は例えば「鉄腕ダッシュ*2の実験です」「〇人に送信すると最新絵文字が使える」など、何らかの利益がありそうだったり情報を拡散させることが目的だったりするものです。良く考えなくても「ウソっぽい」のですがそれを見抜けない人の間で情報が広まるものなのです。

 

 ちなみに「子供だから騙される」ということはないです。実際に数年前に「こんなFAXが届いたからみんな見て!」と職場のおじさんが「当たり屋のナンバー」という古典的なデマ情報を張り出して「これはデマだから」と突っ込まれて恥ずかしそうにしていたのを覚えています。比較的常識的な人だったのですが、そういう嘘情報にあまり触れていなかったのだと思います。

 

 またまたデマが蔓延するようになった時代、どうやって啓発していけばいいんでしょう。ここで余談の余談なのですが、チェーンメール収集を止めてからもたまにチェーンメールが届いていたのですが、それは大抵付き合いのなくなったアドレスだけ知っている知人からばかりだったのが現状です。つまりそういうことなんだろう。信頼性のない情報は信頼している人に回してはダメですね、ハイ。

 

*1:この手の女性の画像などはクレイジーゴーストと称されて本物のお化けというより人為的に怖がらせるために作られたものです。クレイジーゴーストについては次の記事を参照にしてください。【閲覧注意】ビックリフラッシュを解説してトラウマを克服する話 - さよならドルバッキー

*2:他にトリビアの泉やUSOジャパン!など当時を思い出させるような番組のパターンもありました。