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さよならドルバッキー

この世の裏を知ったドルバッキーは世を儚んだ。

「家族」に介入する難しさについての雑感

 最近また「家族」をめぐる問題があちこちで起こっている。連日虐待で幼い子供が亡くなっているニュースがあるし、こんな問題も起こって炎上した。

 

高嶋ちさ子さんが子供の携帯ゲーム機をバキバキ - Togetterまとめ

「自分の思い通りにならないと物にあたる、捨てる」は心のSOS。ケースワーカーなどが入ったほうがいいと思う。

2016/02/13 12:15

 

 更に、しいたけアイコンのwattoさんもこんな問題があったことを指摘している。(追記:現在は公開を停止しているそうです)

 

watto.hatenablog.com

 

 虐待死の問題以外のこれらの問題は、「ネットで子供に対するひどい行いがクローズアップされること」だと思う。特に3DSバキバキは新聞のコラムが元だけれど、その反響は大きくネットで取り上げられた。もしこの反応を子供たちが目にしていたら、一体どう思うんだろうか。

 

 それで、ネットが「家族」っていうものに介入する難しさについていろいろ考えてみたんだけどどうにもいい未来が全く浮かんでこない。それというのも、現実世界でもうまく介入できない問題を「ネットの見ず知らずの人の指摘」で解決できるとは到底思えないからだ。だからと言って行動しないと言うのもよくないし、どうすればいいのかよくわからない。

 

【現実世界での虐待の判定ライン】

 これがとっても難しい。どういう基準で子供を保護すればいいのか、そのラインが専門機関のみ任せで個人が動くにはどうすればいいという理想像がまるで見えてこない。例えば虐待から通報に至って無事に解決したケースなどを紹介することで「大まかな流れはこんな感じだ」という認識が広く広まればもう少し個人での対応が可能だと思われる。

 

 ところが、厄介なのがこういう虐待は全て「ケースバイケース」であるということだ。個人の一般論に従って行動した結果、逆に最悪のパターンになることも十分考えられる。だから専門機関に任せるのが一番いいんだけれど、その専門機関も人手が十分に足りていない。その行き違いで、更に専門機関に対する偏見は生まれていると思う。何か事件があれば「児童相談所は何をやっていたんだ」「警察の仕事だろう」「子供がかわいそうだ」などなど。そんな非難をぶつければ、ますます専門機関は仕事がしにくくなる。更に虐待をしかけている母親たちも「児童相談所はろくなものではない」という偏見の元、児童相談所を遠ざける事にもつながる。

 

 しかも、虐待と言うのは身体的な暴力以外もある。ネグレクトだったり、精神的支配だったりとその種類は様々だ。実際「タクのナニチャンは優秀なお大学に入るために月曜日はピアノとお習字、火曜日はスイミング、水曜日は学習塾で木曜日は英会話、金曜日はバレエに土日は家族でレクリエーションでハイキングに行くザマス」みたいな母親の脇で満員電車のサラリーマンより死んだ魚の目をした子供なんていうのもたくさんいる。これも精神的支配とするならば虐待の一部には該当すると思う。

 

 見た目でわかりやすい虐待なんて存在しないし、それに「子供の様子が変だ」というのも、発達障害の可能性もあり親も適切に対処しているのに苦労しているとなれば通報で逆に追い詰めてしまう可能性がある。だから「どうするのがベストだ」というのが存在しないのがこの問題の難しいところだ。「こうしたらよい」というのが特に存在しない。しかもわかりやすい責任の所在がない。わかりやすい「家庭」というのが見えなくなった結果、新しい家族の一員も見えなくなってしまったのかもしれない。

 

【ネットでの虐待の可視化について】

 そして、こういう報道などを見るたびに思い出すブログがある。たぶん10年くらい前に見かけたブログで、学校でいじめられ家で虐待されている子供のブログだった。今思えばブログ自体が壮大な釣りだった可能性は高いけれど、心のどこかで「もし本当だったら」と思っている自分がいる。

 

(多分このまとめのブログだろうなぁ)

 

 そのブログの虐待はなかなかに深刻で、父親の連れ子であるからと継母から冷たい仕打ちを受けて、食事もロクにもらえなかったり死んだ本当の母親のものを取りあげたりと「どこの昭和のドラマだよ」みたいなものだった。ただの作り話であれば「ああかわいそうだな」で終わるんだけれど、いくら不自然な点があったところで「もしこれが本当だったら」という気持ちはぬぐえない。どこかに通報するとか、何とか支援はできないものかといろいろ考えたけれど、結局何もできなかった。ブログ自体は「引きこもる決意」をしてなかなかにファンタジーな展開になった後急に削除された。

 

 そのブログはもう釣りでいいと思うんだけれど、実際に虐待まがいのことをブログに書いているのを見つけた場合はどうすればいいんだろう。ひとつ言えるのは、ブログサービスを運営しているところに相談しても、解決にはならないのではないかということだ。もしこれが適用されるのであれば、はてなに限らずブログサービスを運営している会社は児童虐待を監視し続けなければならない。パチンコ屋の駐車場で死ぬ子供がいるのは巡回をしていないパチンコ屋の怠慢だ、みたいな話だ。

 

 実際問題、やっぱりブログサービスに直接報告するのは筋悪だと思う。それで以下のブコメが非常に参考になる。やっぱり何かあったときは「189」なんだろう。ちなみに児童相談所というのは虐待だけ取り扱っているわけではなく、引きこもりや不登校、障害や非行など子供の悩みに関することは大体取り扱っている。ここに相談してその後然るべき専門機関、というパターンも多いそうだ。

 

児童福祉法第25条に基づく「株式会社はてな」への通告要請 - しいたげられたしいたけ

「発見した者が」、児童相談所全国共通ダイヤル「189」に相談、所轄がブログ確認、はてなに開示請求というフローが筋では。はてなの判断で開示し通報は難しいと思う。

2016/02/15 08:16

b.hatena.ne.jp

 

www.mhlw.go.jp

 

【だけど、それでも……】

 それでも、虐待を防ぐことは非常に難しい。どれだけ外部の指摘があっても、指導が入っても、結局止められるのは親の意志しかない。子供のために一時保護をしても、何故子供を取りあげられるのかわからない(虐待の意識がない)母親は「私をだまして子供を取り上げた!」とかなり精神的に不安定になって、何をしでかすかわからない。ただでさえ精神的に不安定であることが虐待の要因になっているならなおさらだ。一概に子供を引き離せば良いと言うものでもない。

 

 とにかく大事なのは「虐待は安易に介入してすっきりと解決できる問題ではない」というところを浸透させることではないかと思う。「アナタ虐待していたんでしょう、悪い親だ!子供がかわいそうだ!」とするのはとても簡単だ。だけど、その親も過去に虐待を受けていた可能性は高い。惨めに育てられて、自分がされたことをそのまま子供にしていただけで消えない犯罪者の烙印を押されてしまう。そうならないかとびくびくしながら子供を育てるから余計内にこもった子育てになり、どこかで破綻してしまう。

 

 ただひとつ言えるのは、虐待を行う親は全て「悪魔のような鬼親」ではないということだ。何かが行き違って掛け違えたボタンを何とか直そうとして、やり方がわからずにボタンを引きちぎってしまうような人が多いのだと思う。そういう人のために専門機関はあってほしいし、周囲も責めるようなことをしないでほしい。「そんな悠長なことを言っていたら」というのもあるんだけれど、間違いを起こして逆にメンタルが一生戻らないようになっては本当に取り返しがつかないわけで。

 

 できればそういう人たちもカジュアルにどこかに相談できる空気が出来るといいんだよなぁと思う。現状では「児童相談所に相談=虐待、悪者?」みたいな空気がある。念のため相談してみようとかママ友みんなで専門家の意見を聞いて子育てに生かそうとか、そういう集会みたいなのがあれば少しは楽になるんじゃないかなと思う。そもそも「ママ友」というくくりも義務みたいになればかなりしんどいものになっていると思うんだ。誰かに頼ることが当たり前の子育てになれば、もっといろいろ楽になるんじゃないかなと思うのね。おわり。

 

 

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