あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

八十億の夢を見る夜は ~短歌の目二期・9月の巻~

 お久しぶり短歌。流れ流れて人は泡沫。

 

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tankanome.hateblo.jp

 

題詠5首

1. 星

 眠らずに旅をしてきた流星の八十億の夢を見る夜は


2. 吹

 青から黄から赤色の吹き流し五色の帯に染まれ境界

 

3. はちみつ

 カラカラに渇いた喉に流し込む昨日の記憶と林檎と蜂蜜

 

4. 川

 オレンジの皮をむくようにさらさらと溶けて流れて消えてく川岸


5. 秋刀魚

 「最新の流線型のフォルムです」「それいけ僕らの秋刀魚戦艦」

 

秋5首

 「灯篭を一緒に流した宿題の絵日記どこにしまいましたか?」

 

 金色の女神は降り立つ豊穣の大地にゆるりと風ぞ流るる

 

 清流を彩るもみじ葉ひいふうと数えるごとに近づく夕暮れ

 

 ふっと転がり出でたる十五夜のススキの流れに魔法かけるよ

 

 虫の音に投げ出す長袖着流しの知らない朝を超える長い夜 

 

レールについての雑感

 レールから外れたい、みたいな感じのアレがああしている昨今ですがこんにちは。よくわからん集団心理からドロップアウトをしたことを誇っているようではどうにもならないと思うのですが、あの決意表明から感じたことをちょっとだけ。

 

 どうしても「中退して起業」というキャッチーなチャッカマンに注目しがちなんだけど、読んでみて非常に怖いと思ったのが「何も考えずに18年生きてきた」っていうところなんだよね。その中身はいろいろ書いてあるんだけど、単に「経験の絶対的不足」じゃあないのかなぁと思うのです。そしてそういう予備軍はその辺にたくさんいる。

 

 経験不足、っていうのは成人までに経験しておくようなことをスルーしてきてしまったということです。例えば親と喧嘩をしておくとか、失恋しておくとか、何か目標に向かって努力して報われたとか失敗したとか、皆で団結して何かを成し遂げたとかそういう「人間が社会で生きていくためのイベント」を自分事として捉えてきたかっていうことがないと、自分と出来事に対しての距離感がつかめなくなる可能性があるなぁと思うのです。

 

 レールの上を歩いてきた、というのは単に「何も考えずに生きてきた」ということで、それから脱却したいと言うのは古くから言われてきた「中二病」のような感覚だと思うのです。そこから思うのが、こうなったのは彼一人の責任ではないよなぁと言うところです。もちろん彼をカモにしている連中が悪いのは当然として、こんなものに引っかかるような彼にしてしまった周囲は一体何をしていたんだろうか。そんなことを考えながら読みました。おそらく彼に対して何かしらの働きかけはあったんだろうなぁと思うんだけれど、それを「何も考えずに生きてきた」なんて表現してしまうんだもの。全部他人事だと思っていたんだろうなぁ。これから自分のことを自分で考えて生きて行ってほしいなあと思った次第です。おわり。

 

 

私にくれたものの箇条書き的雑感

 あなたが私にくれたもの キリンが食べ残したピラフ

 大介だったけど~花子がいたーなんてー

 

 思い浮かぶのはシャガールみたいな青い夜と嘉門達夫のことばかり。以下、増田の釣り解説というより雑感です。真面目に読まないでください。

 

オタクが私にくれたもの

プレゼントに仏花というのを見てから大体何でも許せるようになった http://anond.hatelabo.jp/20150704061207

2016/08/31 00:16

 

クソ女にクソみたいなプレゼントを贈った事を増田に書かれた話

落ち着いて過去の名作でも見ようぜ http://www.toofectarts.com/videoshelf/bcd/2005/allofcstory03/003.htm

2016/08/31 23:10

 

ブコメでこの連作は散々「創作」と言われているけれど、正直創作を疑われても仕方がないと思っている。こんなに典型的な話もなかなかない。メタブにもそう書いた。

 

はてなブックマーク - クソ女にクソみたいなプレゼントを贈った事を増田に書かれた話

そういうことも実際あるかもしれないけど、この内容だと「迷子の子供のお母さんを一緒に探して交通量の多い道を横断するお年寄りを助けて破水した妊婦を病院に届けたので遅刻した」くらいの胡散臭さだなぁ。

2016/08/31 23:17

 

〇で、話の本筋の「思い込みで迷惑なプレゼントを押し付けてくる人」の話だけれど、この増田を見て真っ先に「秋葉原のメイドがもらって困るものランキング」を思い出したのです。この中の「仏花」はかなり個人的にグッとくるものがあり、忘れられない増田として記憶しています。

秋葉原のメイドによるNGプレゼントランキング

 

〇そしてそれとセットと思われる内容で投稿された第二弾の増田。どうもこの手の本人登場系の増田を見ると以前あった「ストーカー彼女のことを書いたら彼女からトラバがあった」という増田を思い出す。どちらも元記事は削除されていたけれど、転載がトラバにあるので怖い思いをしたい人は見てみてください。この記事のリアルなところは後の記事が登場した時に元増田が消えたところですね。仕込ならかなりうまい。リアルならシャレにならない。そして元記事が消えていたので記事の発掘に非常に手間がかかりました。見つかって良かった。

解決しました

 

〇そして残念だけれど、プレゼント押しつけ系の残念なメンタル保持者は確かに存在する。その「確かに存在する」ところがこの話を創作実話のように見せている。言い方を変えればストーカーの心理に似ている。「俺が好きと言ったんだから君も好きにならなくてはいけない」という相手の意志を脳内クリアしているタイプの恋愛方法だ。この手の話になると必ず思い出すのがAAで語られる以下の物語だ。日付を見ると10年以上前に投稿された話だけれど、内容は現在でも古臭くなることがなく一種の古典の領域に達していると思う。未読の方は是非読んでもらいたい。

(新)モララーのビデオ棚

 この話の一番最後に登場する「人の愛し方もわからないクズがマトモに生きてる誰かにすがって迷惑かけてるの見ると、オマエが氏ねよって思っちゃうよな」は痛く人々の心に突き刺さる。

 

〇どうやらポイントは「人の愛し方もわからないクズ」というところらしい。しかし、人は愛し方を学校では学ばない。愛し方を知るのは自分が愛された経験からである。つまり例に出てくるような距離感のない人は「愛された経験」が常識の範囲内で圧倒的に足りないのかもしれない。では単純に愛を与えてあげればよいかというとそうでもなくて、この手の人物に不用意に愛を与えると逆効果になってしまうことが多々ある。平等に義務教育で「人との接し方」を学べばよいのだろうか? それもまた違う社会を形成しそうで怖い。現段階では交通事故にあったと思うくらいしかすることがなさそうだ。

 

〇この件について調べているときに過去に似たような投稿があったのでそちらも紹介して終わりにします。二つ目のブログ記事は「変な人に好かれる」の構造を丁寧に図で考えています。つまりずっと前からこういう話題は何度も繰り返されてきたということです。そろそろ抜本的対策を期待したい。やっぱり警察が「何かあってから動く」というのでは遅いと思うのだよ。被害者のケアはもちろんだけれど、加害者の再発防止対策もなんとかならないのだろうか。

変な人に好かれる

nlog(n): 「変な人に好かれる」を図で考える

 

ジッタリンジンは好きです。

 

「何かいる」 ~なつやすみの宿題・納涼合宿~

「ただいまー」
 私は玄関の鍵を開けて家に入る。誰もいないとわかっていても、つい誰にともなく帰宅の挨拶をしてしまう。靴を脱いでいると、まだ玄関より先の暗い部屋の様子がおかしいことに気が付いた。


(何か、いる?)

 

 私は電気をつけると、おそるおそる家の中へ上り込んだ。何が違うと聞かれても言葉にするのは難しいが、とにかく「何か」が違う。昨日の夜や今朝家を出るときと違う、物々しい空気が家中に立ち込めている。

 

 私はそっと台所を覗きこんだ。包丁など凶器のある場所に変なものがいたのではたまらない。もちろん人影などあるわけもなく、ほっとして私は冷たい水を飲もうと流しへ近づいた。グラスを手に冷蔵庫を開けようとして、私は違和感の正体に気が付いた。

 

 冷蔵庫の下に、小さく動く2本のアンテナのようなものがある。

 

 それの全体像は見えなかったが、私の想像力でも冷蔵庫の下に何が隠れているかわかる。しかし、何かのゴミの見間違いかもしれないと思い、私は2本のアンテナをじっと見つめた。そしてそれは微かに自ら動いていた。間違いない。奴だ。
 私は足を忍ばせて玄関まで戻ると常備してある殺虫剤を持って再び冷蔵庫の前に戻ってきた。相変わらず触角は冷蔵庫の下から丸見えで、おそらく奴はこちらが気が付いたことに気付いていない。奴の気が変わる前に私は殺虫剤を冷蔵庫の下に吹き付けた。触角はびくんと跳ねて冷蔵庫の下に完全に潜りこんだ。私は構わず殺虫剤をまき続ける。しばらく経ってから冷蔵庫の下に新聞紙を丸めた棒を突っ込んで探ると、奴の亡骸が出てきた。なるべく大きめサイズのそれを見ないように新聞紙でくるんで、私はゴミ箱に捨てた。
「馬鹿め」
 どうやら玄関をくぐった瞬間に感じた違和感の正体は、こいつらしい。頭ならぬ体隠して触角隠さずというところか。もう少し触角に敏感になっていればこいつも長生きできただろうに、なんて間抜けだったのだろう。しかし、一体どこから入り込んだのだろうか。害虫対策をもっとしておいたほうがいいかもしれない。

 

 私は台所での死闘を終え、服を脱ぎ始めた。夕食は外で済ませてきたので、今日は風呂に入って録画しておいたドラマを見て寝るだけだ。さっさと汗を流して、さっぱりとしてリラックスタイムを満喫しよう。ところが、風呂場に来るとまた先ほどの違和感が頭をもたげてきた。


(やっぱり、何かいる?)


 そんなはずはない。違和感の正体だって先ほど丸めてゴミ箱に捨てたではないか。すっかり服を脱いでしまったのでシャワーを浴びないわけにもいかず、私は「何か」の正体に怯えながら風呂のドアを閉めた。
(気のせい、気のせい)
 シャワーで軽く汗を流し、シャンプーを手に乗せて泡立てているときに限って変なことを思い出してしまう。それは昨年友達とふざけて見たホラー映画だった。肝試しをして家に帰ってきた若い女性がシャワーを浴びていると、鏡に何かが映っている。慌てて目を凝らすと鏡には何も映っていない。安心した女性が蛇口をひねると血のシャワーが降り注ぐ。女性が絶叫して、場面は暗転する。それだけのシーンだった。
(何で今思い出しちゃったかな)
 髪を洗っている間は顔を下に向けているし、背中で何が起きていても不思議ではない。温かいシャワーを浴びているはずなのに、何故か冷たい水をかけられているような感覚が背中を走る。顔を上げて、人の顔があったらどうしよう。血のシャワーが降ってきたらどうしよう。急にナイフを持った男が浴槽から現れたらどうしよう。


 気を紛らすために、私は歌を口ずさむことにした。とにかくこの変な思考のループから抜けないと、怖くて怖くて仕方がない。とにかく楽しい歌がいい、何を歌えばいいだろうか。
「おかーをこーえーいこーよーくちーぶえーふきつーつー」
 私の中の「楽しい歌」のレパートリーから選ばれたのはとても楽しそうな歌だった。歌っているうちに気分も軽くなってきて、変なお化けの妄想はどこかに行ってしまった。
「ランララララあひるさん、ガアガア!」
 あひるさんになりきって体も洗い、無事に風呂場を出ることが出来た。
(ところで、この歌のタイトルは何だっけ?)
 髪を乾かしながら私はどうしても消えない疑念を抱いてしまった。
(なんだっけ、さんぽ? それは歩こうの奴だし……)
 どうしても出てこない。手入れを終えると私はスマートホンですぐに「おかをこえいこうよ」という歌詞を検索した。
「そうだ、ピクニックだ」
 身も心もすっきりしたところで、今日は眠ることにした。録画したドラマはまた明日まとめてみればいい。
「寝よう、おやすみ」
 また誰にともなくつぶやいて、布団にもぐって電気を消す。


(やっぱり何かいるのかな?)


 やはり何かを感じる。気のせい、なのだろうか。
「気のせいに決まっている、というか疲れてるだけ」
 無理矢理結論をつけて、私は眠りに落ちた。


 翌日も変わらず家を出て出勤する。昼休みに私は昨日の武勇伝を話した。
「昨日家に帰ったらさあ、何か変な感じがして」
「変なって、どんな?」
 いつも一緒にお昼を食べている同僚が尋ねる。
「なんか、イヤーな感じ。お化けかもしれないって思った」
「何ちょっと怖い話はやめてよ」
 向かいにいたお局様が嫌そうな顔をする。
「怖いって言うか、なんていうか……それで台所を覗いたんです」
「うんうん」
「そしたらなんと、冷蔵庫の下にゴキブリがいたんです!」
「ホント?」
「そう、それで慌ててゴキジェット持ってきてぶっかけて、もうびっくり」
「よく気付いたねー、普通わからなくない?」
「でも、触角が冷蔵庫の下からはみ出てて」
「うわー、キモ!」
「でも無事に退治できてよかったねー」
「まあね、でもキモイし普通にびっくりするよねー」
 するとあまり口を挟まない新卒の大人しい男の子がぼそりと呟いた。
「でもゴキジェットを玄関に置いておくのは効率が悪いと思います。僕ならあらかじめ台所にも置いておきます。台所の遭遇率が一番高いから」
「そうだよねー、今度から私もそうするわ」
 やっぱりお化けなんていないし、私の家にも何もいない。私はもう一本殺虫剤を買って帰ろうと思っていた。

 

≪了≫

 

novelcluster.hatenablog.jp

 

 多少演出はしてありますが、冷蔵庫の下のGの話は実際にあった話です。第六感を信じたくなった出来事でした。

 

 

デマについての雑感

 何故かここ数日デマが蔓延している。災害が起きると不安定な気持ちから早急な情報を求めたがるとでもいうのだろうか。

 

「日テレ24時間テレビで両脚マヒの少年に対する虐待シーンがあった」はデマ - chBBplus’s diary

「台風10号ちゃん日本好き過ぎ」デマ予報図が拡散 TBS「私どもが放送したものではない」

 

 他にもここにリンクは載せないけれど、芸能人の起こした性的暴行事件の被害者と思われる偽物の画像も出回っているようです。また記憶に新しい「貧困JK事件」も扇情的な感想が付いて「NHKが事実を捏造した」という類の情報は尾ひれがついたデマと言ってもいいだろう。

 

 少し考えれば「テレビカメラが回っている前でぶん殴るなんてあり得ない」「海の上を進んでいるならともかく陸に上がって台風がまた戻ってくるのはどうかと思う」とタイトルだけで扇情的なものはまずデマだと思って間違いないと思うのです。流石に大手新聞社やニュースサイトが真偽の定かではない情報をばらまくということはないと思うのでその辺は信用していいと思うのですが、それ以外の特にまとめサイトと呼ばれるものの情報は一度「真偽保留」にしたほうがいいと思うのです。大手からの発表の後に「本当だったんだ」と思えばいい。今すぐに「コイツ悪い奴!」とSNSで拡散させなくてもいい。まずは「信頼できる情報筋」からの話がない限りほとんどの話は嘘だと思った方がいいと思うのです。

 

 以下余談。

 

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 この「真偽不明」な情報を捌く能力と言うのがこれからのネットの世界で必要になってくる。ところがネットの利用が広まれば広まるほど見分ける能力がなくても簡単にネットに接続できて、変な情報を拡散させてしまう。「ネットには真偽不明な変な情報ばかり転がっている」という前提を持たせるのが一番なのだけれど、それは今となっては難しい。

 

 自分が初めてネットで出会った「真偽不明」の情報は、チェーンメールだった。これからする話はケータイ電話のアンテナが光っていて写メを送るのがスゴイとされた時代の話です。

 

 当時は高校に入学して初めてケータイを買ってもらえる子が多く、ウチも例外ではありませんでした。初めて手にする端末に心を躍らせ、メールをやりとりしていたものです。中学を卒業して離れ離れになった友達と再会して、まず行うのがアドレスの交換でした。

 

 そんなあるとき、中学の同級生が泣きながら「変なメールが届いたけれど私は誰も殺したくないどうしよう」と言うのです。詳細を尋ねると以下のメールが届いてパニックになったようでした。

 

ごめん。。。
怖いよぉ。。。こんなの送っちゃってホントごめん・・・。

11/22(土)に兵庫県姫路市港区住吉台で橘あゆみという19才の女性が
何者かに襲われ暴行をされた後、顔がぐちゃぐちゃになるぐらい殴られ下腹部を
めった刺しにされ殺害されました。
それはわたしの友人です。彼女は妊娠3ヶ月でした。
遺体からはそれぞれ違う精液が見つかったということです。
おそらく何人かの男がレイプしおもしろ半分に子供を宿した彼女の中に精液をかけ無残にも
その下腹部をめった刺しにしたのだということでした。
・・・許せない!彼女とおなかの子供、二人を殺した犯人たちを同じように
それ以上痛めつけ殺す・・・・そう決めました。
パソコンのプログラムの処理から犯人と思われるやつの名前をリストにしそれだけでは
なかなか見つけられないのでメールにより検索し怪しいやつはみんな殺す計画をたてたものです。
このメールを見たら必ず24時間以内に●人に回して下さい。
パソコン、携帯、ピッチそれぞれの位置情報からメールをとめたやつの居場所をつきとめ怪しいと判断した場合殺す・・。
探偵事務所の最新パソコンによりメールを回したことを確認できるようになっています。
信じる信じないは自由。
このメールをあざわらいとめたばかな男がとおり魔に下腹部と男性部分を八つ裂きにされ殺されました。
同じ日に若林区河原町で二人の大学生が同じように頭を割られぐちゃぐちゃになるぐらいえぐられ殺されました。
プログラムは止められません。
もしメールを24時間以内に送れば私のプログラムセンターから連絡のメール
または携帯などは非通知でワンコールで知らせます。
その連絡がくればあなたはリストから解除されるわけです。もし送らなかったら
時間の三時間前に二回コールします。
二時間前にワンコールします。たとえ女だとしても同じです・・・
現在標的は680人うち被害にあった標的は14 人・・更新中

http://www.chenme.com/kowai/12.htm(出典)

 

 このメールは今でこそ有名な「橘あゆみのチェーンメール」ですが、当時はそんなことはわからず、ティーンはチェーンメールに踊らされていたのです。しかも丁寧に友達に送られてきたバージョンには画像URLがついていて、開くと青白い顔の女が出てくるものになっていました*1。よく読めば前半のやたらとおどろおどろしい内容と反対に後半は「探偵事務所の最新パソコン」とか「私のプログラムセンター」とか割と頭の悪い単語が並んでいておかしいのです。それにそんな惨殺事件があれば警察が発表するだろうし、「たとえ女でも」って相当意味不明です。それでも「こういうメールには嘘がある」ということを知らないと文面だけ見て「どうしよう殺されちゃう」ってなってしまうわけです。

 

 それからチェーンメールのことを話して「イタズラだから安心してもいい」「どうしても不安だったら自分に転送してくれ」と言ってそのメールをもらいました。その頃自分は「この手のメールはどのくらい種類があるのだろう」と思って「だれかに回して」というチェーンメールが来たら回してくれと友達に頼んでコレクションしていました。当時はメールをPCに転送するなんてこともなかったし、その後ケータイを買い替えたきりそのデータは見れなくなってしまったのですが、結構な数があったのを覚えています。

 

 覚えている限りだと、多かったのは「恐怖系」と「情報を回して系」です。恐怖系は恐怖心を煽って送信させていたのですが、「情報を回して系」は例えば「鉄腕ダッシュ*2の実験です」「〇人に送信すると最新絵文字が使える」など、何らかの利益がありそうだったり情報を拡散させることが目的だったりするものです。良く考えなくても「ウソっぽい」のですがそれを見抜けない人の間で情報が広まるものなのです。

 

 ちなみに「子供だから騙される」ということはないです。実際に数年前に「こんなFAXが届いたからみんな見て!」と職場のおじさんが「当たり屋のナンバー」という古典的なデマ情報を張り出して「これはデマだから」と突っ込まれて恥ずかしそうにしていたのを覚えています。比較的常識的な人だったのですが、そういう嘘情報にあまり触れていなかったのだと思います。

 

 またまたデマが蔓延するようになった時代、どうやって啓発していけばいいんでしょう。ここで余談の余談なのですが、チェーンメール収集を止めてからもたまにチェーンメールが届いていたのですが、それは大抵付き合いのなくなったアドレスだけ知っている知人からばかりだったのが現状です。つまりそういうことなんだろう。信頼性のない情報は信頼している人に回してはダメですね、ハイ。

 

*1:この手の女性の画像などはクレイジーゴーストと称されて本物のお化けというより人為的に怖がらせるために作られたものです。クレイジーゴーストについては次の記事を参照にしてください。【閲覧注意】ビックリフラッシュを解説してトラウマを克服する話 - さよならドルバッキー

*2:他にトリビアの泉やUSOジャパン!など当時を思い出させるような番組のパターンもありました。

夏祭り七首 ~57577~

 祭囃子が聞こえてくる。縁を求めて縁日を行きかうために。

 

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赤青黄 シロップこぼした夜の海をひとりじめする二百五十円

 

階段の上で待ってる鼻緒から覗く素足に咲く絆創膏

 

手の平の中で踊れ よんよんと上下に回る水の惑星

 

水槽の外の世界や朝日すら知らないぼくらカラーひよこ

 

白い手を何千本もかき分けてやっと見つけた黄色いミサンガ

 

「目印になるからつけて」と渡されたひやりと重い蛍光腕輪

 

帰り道 何かあるような期待して何もなかった百日紅の前

 

 

貧困JKにおける雑感

 最近は真っ当な時間に朝家を出て夜オリンピックが始まるころ家に帰ってきて、そんでオリンピック見ながら寝て起きてまた出かけてを繰り返していたので微妙に体が痛くなってきました。忙しいって奴です。じっと手を見る。

 

 で、今ネットで話題になっている貧困JKの話題なのですがあの番組をちょうど見てやっぱり「これは……」と思ったのですが、それと違うことで炎上しているので自分の思っていることをざざっと書きます。

 

 絶対的貧困や相対的貧困、過剰な演出など争点はたくさんあるのですが一番の疑問は「なぜ彼女の実名と顔出しをしてこれを報道したのか」ということなのです。「子供の貧困の現状を知ってもらいたい」というのはわかるのですが、あまりにもケースが特殊で一般の共感を得られないと思うのです。また、報道内での彼女の主張には幼いところもあり「こどものこえ」としては正しいけれど「主張」には至っていない。

 

 以前あさイチで「子供に計画的にお小遣いを使わせるには」というものをやっていた。例として紹介された家庭の小学生は「友達が持っているから」と与えられた小遣いをもらったらすぐに使ってしまう。「これが欲しいから貯めよう」という意識がない。指導員らしき人と表を作って「これを買うとこれは買えないから我慢しようね」と言うと「やだー」と泣きだす。そんな子供の金銭感覚を責めても仕方ない。

 

 すごく嫌な考え方をすれば、彼女が貧困である原因は彼女の親が貧困であるからであり、責めるべきは子供ではないと思う。何故彼女の母親は女手ひとりで子供を育てなければならなかったのか。アルバイトしか収入がなく、もっと収入の多い職業につけなかったのか。離婚しているのであれば養育費は相手からきちんともらっているのか。単純に「お金」の問題だけで考えればそういったところを解決するしかないし、「お金」の問題において子供に責任はない。だからお金の使い方で未成年の彼女を責めるのはどうかと思う。

 

 ただ、今のご時世「私は貧乏です(だから金持ちは恵んでください)」というようなメッセージを全国に流すと反発があるのが当たり前だ。彼女の身に何があるかわからない。せめて顔モザイクやイニシャルに出来なかったのだろうか。こういった反発を予想できずにこの企画を通したNHKも甘いと思うし、おそらく裏にはこの子の所属する「かながわ子どもの貧困対策会議」のスタッフも絡んでいると思う。NHKが独自に争点の女子高生に取材したと言うより、この対策会議で報道してもよいという子を選んだのではないかと思っている。第一回の議事録を読む限り、平凡な会議だと思うし「当事者のマスコミへの顔出しは慎重に」なんて意見もある。はて、この意見はどこに行ったのだろう。

 

第1回かながわ子どもの貧困対策会議 - 神奈川県ホームページ

 

 「子供の貧困があるんです」という問題はわかった。だけど報道内で「じゃあどういう解決策があるだろう」という方向性が全く示されていなかったことも炎上の原因になっていると思う。「お金がなくて困っています」はわかる。でも、それだけで終わると「お金があればいいのでお金ください」になる。つまり全国メディアを使った乞食行為に見えないこともない。「進学費用が足りないのでもっと使いやすい奨学金制度を」とか「女性のひとり親家庭の収入が低いのはなんとかならないか」とか、そういう方向を見出さない限り例の報道だけでは「だからおかねください」「かねのあるおまえらずるい」にしか見えない。もちろん「まずは知ってもらおう」というところが落としどころなのだろうけれど、それにしては「当たり前のことが当たり前でないんです」なんて強い言葉を切り取るから変なことになっている。

 

 それと気になったのが会議に出席した高校生の意見。「勉強とか大変な人がいたら力になれるのではないか」というのは「自分に出来ることがあれば力になりたい」ということなのだろうけれど、「お金」の問題で「勉強とか」というワードを持ってくるのは話が全然理解できていないという印象だし、「胸に突き刺さる思いだ」という意見は「かねのあるおまえらずるい」を真に受けてしまった印象を受ける。なんとなくイヤだなぁと思うのが、こういった話を聞いて「お友達は進学できないから私も進学はやめよう」と遠慮してしまうことで、「貧困の解決」ではなく「みんなで同じラインに立ちましょう」が優先されては貧困の再生産にしかならないと思う。

 

 でも一番気になったのが、「イラストが趣味でデザイン系の仕事に就きたい」なんて言って描いたイラストを全国放送してしまったらずーっと「黒歴史」が残るんじゃないか……っていうところ。キーボードの話を抜きにしてもこの報道の要約が「私がワンピースの絵が描けないのはどう考えてもおまえらのせい」になってしまったのはやっぱりよくなかったよなぁと思う。

 

 子供の貧困はやはり親世代の貧困であり、貧困を生み出したのは何かということも考えていかないといけないよなぁと思っている。金銭感覚の教育だったり学歴の有無で就ける職が変わるとか、そういう奴のツケが回ってきている感じがするのです。あとアニメ系の専門学校などは「夢」を売っていて夢では腹は膨らまないということがもっと周知されたらいいんじゃないかなぁと思うのです。お金の問題は「俺の方が不幸だ」になるからマスコミであまりしないほうがいいのかもしれない。おわり。