天の頂から短歌。
1. クリーム
誰からも愛されているあんみつとクリームソーダに私はなれない
2. 溝
亡骸は海溝深く誰からも見えないところに沈めてください
3. 万緑
らんらんと降り注いでる木漏れ日と滴り落ちる万緑の雫
4. 雨
土曜日に降った雨の残骸を片づけている朝の球場
5. きみ
「寄り添って」「囁いてみて」「愛してる」「きみが好きだよ」「私なんかを?」
テーマ詠「衣服」
虹色の羽根を纏って宙を舞う私はきっと生きてはいない
無造作に打ち上げられた虹色の足は砂にまみれて遠くへ行けない
地に足をつけて初めてわかった 虹でない私の中身の熱い血潮
人間に生まれなければ服を着る必要なんかなかっただろうに
虹色の涙を纏って空を切る私はやはり生きてなかった