さよならドルバッキー

この世の裏を知ったドルバッキーは世を儚んだ。

れりごーして真実の愛を探しに行く話

 前回盆踊りで「れりごー」されたのを結構引きずっています。そんなときにこんな増田が飛び込んできた。

 

コミュ障がアナと雪の女王を見に行ったら辛くて死にそうになった話

 

 うーむ、なんとなく『アナ雪評』で語りつくされたところに「コミュ障」をくっつけただけのような気がするぞ。でもちょっとだけ言いたいことがあるから書くぞ。昔ガチっと書いたけど「真実の愛」のくだりはもう少しいけそうだからその辺を少しだけ。

 

「アナと雪の女王」を見てきたから盛大にアゲようと思う話 - 価値のない話

感想「アナと雪の女王」 - 傍線部Aより愛を込めて 〜映画の傍線部解釈〜

 

 

 まずこの映画を見るときは「これはアメリカの映画なんだ」っていう大前提が必要になると思う。アメリカで作られた映画が日本のACを問題にしているとは思えない。親から遠ざけられた彼女がどうのこうのというのは世界共通っぽいけれど、たぶん映画を制作したほうは「そんなことは大事なことじゃないよHAHAHA!」って思っていると思う。自分が大事と思っていることが他の人もそう思っているかと言うとそうではない。これ映画鑑賞の基本。特に外国映画は日本人の思考と全く違う論理で展開されていることが多いので「これは異国のお話だ」ということを念頭におかないと「意味わかんない!駄作!」とか言ってしまわれがちだから注意しよう。

 

※ここから先は作品を鑑賞した前提で書きます。

 

結局「真実の愛」って何さ?

 字幕版を見ていないから何とも言えないけど、吹き替え版ではしばしば「真実の愛」という言葉が出てくる。曰く「真実の愛で魔法は解ける」そうなんですが、もちろんこれは男女がキスをすることが「真実の愛」であると錯覚している現代人のお約束をぶち壊すための仕掛けで、いわば軽い「アクロイド殺し」状態なのだと思う。

 

 姉妹愛を簡単に結び付けていいほど、「真実の愛」とやらは単純なものではないと思う。「愛とは遠くからやってくるものや自分で探しに行くものではなく、とても近くにあるものだ」みたいな青い鳥論法をやりたくてこういう設定にしていると思うんだけど、彼女ら同士でまるで愛を育むようなシーンはどこにもない。そもそもアナの考えていた「愛」とやらが張りぼて過ぎて周囲もひいてしまうくらいひどい。

 

 エルサが失敗を恐れて引きこもったヒッキーならば、アナは致命的に空気読めないで周りを振り回すタイプの人間だ。普通の人間ならエルサが引きこもったときに「何か事情があるのだろう」と察するはず。アナも幼いときは無邪気に「雪だるま作ろう」って言ってもよかったと思うけど、大人になっても「雪だるま作ろう」レベルから変わっていないあたり相当ヤバい。しかも初対面のアヤシイ男と「運命の相手」などといって婚約しちゃうとんでもない娘。物語の都合上と言ってももう少し何か配慮はできなかったのだろうか。

 

 そんな状態で「姉妹愛よ!」とか言われてもピンとこない。突き詰めれば「初対面の男より血縁関係が大事なのよ!」ってことになりかねない。個人主義の国で家族を重んじる物語が大ヒットしたことが何を意味するのかはよくわからないけど、なんとなく日本の「絆ブーム」や「地元に帰ろう」に似ている気がする。自分のルーツ的なところに回帰させてそこを大切にしよう、みたいな。しかもD社は結局プリンセスでめでたしめでたしと言う権威主義で締める。塔の上のラプンツェル』も最終的にお城で暮らしてめでたしめでたしだし、「お姫様が平民に落ちて幸せに暮らす」という筋書きは基本的にない。「魔法に魅せられて」はこの状態を皮肉ったものなのでカウントはしない。

 

この映画で言いたいことは?

 このことはとてもセンシティブな問題で、「女の子は誰でもプリンセス」で世の女性に夢を売っているD社には都合が悪いことでもある。ありのままの平凡な姿を描きたかったら、その辺のありふれた女の子を描いたほうがいい。『天使のラブソングを2』の女の子のほうが抑圧があったり葛藤があったりしたけれど最後によっぽど「れりごー」できていると思う。子供向けの映画で葛藤もクソもないと思うけど、ミュージカルを頑張りすぎてその辺の説明になりそうなシーンを『アナ雪』ではおざなりにしているところがあると思う。だから余計「真実の愛」が唐突に見える。

 

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 結論としては、結局「真実の愛」とやらも「れりごー」の小道具に過ぎないんじゃないかってところね。つまり「真実の愛」は『アナ雪』を見ただけではわからない。物語の軸っぽいのが実は一番大事じゃないってすごくもぞもぞする。主題を期待させておいて消化しきれていない。だからいろいろとゴチャゴチャしてややこしいことになる。もっとすっきりした話は今のお子様にはよろしくないんでしょうか。

 

 おまけ

 やっぱり「真実の愛」がどうのこうのというのはお子様には難しいと思うので、D社の出した答えを知りたかったら『マレフィセント』を見るといいと思う。あれは『アナ雪』で放り出した「真実の愛」についての葛藤についてきちんと描いているから『アナ雪』でもやもやした人にはオススメです。

 


『マレフィセント』予告編 - YouTube

感想「マレフィセント」 - 傍線部Aより愛を込めて 〜映画の傍線部解釈〜

 

 あとやっぱり、愛って「特定の個体への執着とその感情が生み出す希望や絶望を超越した力」じゃないですかね。

 

 

 真実の愛なんて、わけがわからないよ。