愛すべき役立たず ~短編小説の集い~

それは「影」だった。誰でもないし、何でもない。お腹もすかなければ、退屈もしない。だけど誰からも顧みられないし、愛されることもない。かつて蔑まれていたような気もするし、名前で呼ばれて痛めつけられていた記憶も微かにある。それも永遠に続くと思われる孤独に塗りつぶされていく。 (どうして僕は存在するのだろう…