チトセッタは15になった ~短編小説の集い宣伝~

ハスカランカの花が一斉に散り始めた。よく晴れた空の下、薄紫の花弁は宙を舞い、濃い緑色の匂いの風に流されてどこか遠くへ運ばれていく。 「まるで絶景だね」 男が傍らにいる少女に語りかける。 「直に綿毛が生えて、また一斉に飛ばされるの」 少女は風に流される緑色の長髪をそのままに、緑と紫と青空のコントラストを…