「西へ向かう」 ~短編小説の集い~

新幹線のホームは外のお祭り騒ぎを忘れさせてくれるように、いつもと変わらない様相を示していた。ところが売店に入った瞬間に店員の赤い帽子とレジの脇に積まれたチョコレートで思い出してしまった。どこもかしこもクリスマスなんて知るか。クソが。 温かいココアをひとつ買って、席に着いた。窓の外は厳しい北風が吹いて…