あのにますトライバル

旧さよならドルバッキー。

ワニの件雑感

増田見てもどこ見てもワニだらけでムカついたのでボチボチ書いていく。ちなみに「ワニの顛末はお粗末だと思うけど、そんなに怒る方もどうかしている」派です。


言いたいこと

  • 「100日後に死ぬワニ」は最初から不謹慎コンテンツ
  • その批判は八つ当たりになっていないか
  • 憎悪の拡散はやめよう


死ぬために生まれたワニ

今回の話でどうしても解せないのが「死後にグッズ展開をしたのは不謹慎でワニの死を悼む暇がない!不謹慎!」と言う話。確かにちょっとあざといグッズ展開で「ランチボックスなんて誰が買うねんwww」とか思ったけど、ワニの死をどうこうという話に絡めると「そんな話だっけ?」と思う。


そんな話をするなら、このブログ書いてる人は100日後に死ぬワニを捕捉した時点で不謹慎なコンテンツだと思っていた。確か雲布団を買うとかネズミが退院したとかその辺だったかな。特に雲布団の話が何だかキツくて「神視点の読者だけがワニの行く末を知っていて、そのワニは死ぬことを知らない」わけだからその構造は完全に紙の上のトゥルーマン・ショーみたいなものでしょう。例えば「ワニくんの日常」みたいなタイトルで連載していても誰も注目しなくて、敢えて「死」というタイトルを付けたからみんな注目したわけで、つまりワニに感情移入すればするほどワニの死を「見世物」として楽しみにしてしまうわけ。「ワニくんの日常」として人気が出て突然ワニが死んでしまったならこの批判はよくわかる。「作者のエゴで勝手にキャラクターを殺して金を稼いでいる、許さん」と。なるほどそうかもしれない。


でも「100日後に死ぬワニ」のワニは死ぬために生まれてきたわけで、ワニのコンテンツを楽しみにしていた人は「あーワニが本当に死んじゃった、可哀想だね」という反応を本来はするべきなんだと思う。ワニに過剰に肩入れして「あの一生懸命生きたワニくんが死ぬなんて、なんて悲しいんだろう!」と盛り上がるのはなんか違う気がする。死を軽々しくコンテンツにするなと言うなら、そもそも「100日後に死ぬワニ」という作品自体が既に不謹慎コンテンツなわけで、いきものがかりのコラボとかグッズ展開の時点で始めて怒るのは何だかなぁという感じ。


思うに、メメント・モリが「100日後に死ぬワニ」のテーマであって「普通に生きていても急に死ぬんだぞ」っていうのが作者の言いたいことなんだろう。実際何でも死ぬ時は呆気なく死んでしまう。このブログ書いてる人だって来月死ぬかもしれないし、「不謹慎だ!」と騒ぐ人も電通マーケティングの人も、来年生きている保証はどこにもない。金儲けの意図なんて作品の前にはどうでもいいことなんだと思う。ファンならまず作品に向き合って欲しい。


とは言え、繰り返すけどグッズや告知のタイミングはちょっとひどいと思う。ニコニコしてるワニくんのポップはおそらくワニ自体が「不謹慎コンテンツ」であることを了承している人向けのもので、真剣にワニくんに感情移入してしまった人のものではないという誤算があったのではないかと思ってしまう。それでもグッズの豊富さはあまりにも酷くて笑ってしまった。「やりゃあいいってもんじゃない」という感じだろうか。そこの行儀の悪さはわかるけど、焼畑レベルでブチ切れるものでもないとは思う。上記の通り、「100日後に死ぬワニ」という作品に感情移入した時点でもうワニを殺した共犯になっているのだから。


後から「こうすればよかった」は言っても詮無いことなんだけど、いきものがかりのPV(未視聴)は100日後に死んだ後に「感動しました!そこでPV作ってみました!」ってな形で水野良樹が単体で出してたらよかったのにとは思った。死ぬ前に出したのが良くなかったよなぁ。


無料で感動を得るのは難しい

で、「金儲けの匂いがして興ざめ」というのはまぁわからないでもない。「興ざめだ」までならわかるけど、「興ざめさせやがってこの野郎」と殴り掛かるのはどうかしらとは思う。ぶっちゃけ世の中、「金儲け抜きでコンテンツを楽しむのは不可能」だと思う。


例えば好きな作品が映画化する、色んな人に見てもらえるのは嬉しい。でもその作品の役者が明らかに売り出し中の芸能人だったりすると途端に「カネ」「オトナノジジョウ」の文字が見え隠れし始める。「作品はよく知らないけど俳優のファンなんで見に来ました、作品はよくわからなかったです」みたいなツイートが発生しまくる。でも「オトナノジジョウ」がなければ映画化の話なんてないわけで、そこはもう涙を飲んで我慢するしかない。「ぼくのかんがえたさいきょうのめでぃあみっくす」をするなら自分でお金出して自分でスタッフ集めるしかない。


とは言っても、やっぱりわかっていても悲しいものは悲しい。だから「悲しい」という気持ちを隠す必要はないと思うけど、その「悲しい」を製作者やよくわからないで見た人、更に原作者にぶつけるのは八つ当たりに近いと思う。自分の気持ちは自分で一度処理をしたほうがいい。ネットに憎悪をそのまま書き込むとその憎悪は何百倍にも膨れ上がる。反対に楽しいことを書いても反応はないか、下手をすると「楽しいことばかりで辛い人の気持ちも考えてください!」とか言われる。みんな自分が1番惨めであり幸福だと思っていたいのかもしれない。


八つ当たりはやめよう

で、この炎上で興味深いのが様々な方向に延焼していること。「電通」「アナ雪ステマ」「Twitter上の漫画家(複数の名前)」「一杯のかけそば」「のぶみ」などのワードが見られたけど、それぞれ炎上するポイントは「100日後に死ぬワニ」とは異なっている。何となく関連しそうな言葉を巻き込んで憎悪を再生産しているとしか思えない。


一杯のかけそば」に関しては「実話と称して実は創作だった」という点がまずかったので最初からフィクションであるワニと比べることは難しい。「アナ雪ステマ」はお粗末な仕込みのステルスマーケティングがよくないのであって、ワニは真面目に作品を完結させたという意味でステマには当たらない。「電通」「漫画家」に関しては今回の騒動に関連した事象であって、ワニの問題点と直接関係はない。「のぶみ」に至っては「死を軽々しく扱った」という点で連想する人もいるけど、少なくともワニは作品内では死を誠実に扱っているので子供に読ませても特に問題は無いと思う。なお「のぶみ」の問題点は死生観単体ではないというところは強調しておく(詳しくは他にたくさん書いてる人がいるので割愛)。


特に「電通」の名前を出して騒いでいるのはどうなのかと思う。このブログ書いてる人も広告代理店のあざとい手法は好きではないけど、「100日後に死ぬワニ」に大々的に関わっているわけでもないのに大罪人のように扱うのは気が引けるというか、問題の本質から離れている気がする。この騒動に関連して他の「Twitter上の漫画家」の名前を出している人もどうかと思う。日大アメフト部の問題を明らかにしたいときに法政大学のアメフト部の嫌いな奴の名前を出すくらい関係がない。


要はここまで来ると「ワニくんのグッズ展開は残念ですね」という段階を超えて「関連してそうなもので叩けるものは何でも叩こう」という輩が出始める。これは簡単に言うと「八つ当たり」である。こうなるとどんな火消しをしてもどうしようもない。


例えばちょっとした失言で炎上した有名人が「ごめんな」「ええで」で許されることはほとんどなくて、多くは謝罪をしても余計怒りに火を注ぐことになる。実はこの時怒っている人は既に発言自体に怒っているのではなく、過去の怒りを再燃させていることが多くある。その怒りをどこに向けるべきなのか見失っていた所に怒りを向けやすいターゲットが来たので怒って見せているところがある。


例えば映画やドラマの感想ツイートなどを見ると自分の体験と作品の内容を混同させている人はかなりいるし、そのまま役者と登場人物を同一視する人もいる。それだけ作品にのめり込んだ、といえばそうなんだけどそれが作者の意図と一致しない場合は独りよがりな感想でしかない。実際のところ個人の感想なんて自由でいいんだけど、ごんぎつねで「キツネが嫌いなのでごんが撃ち殺されてスッキリした」という感想を述べるのはどうなのかとは思う。その辺の許容範囲が少しズレていたのが今回のワニ騒動の一因でもあると思う。


憎悪の拡散はやめよう

とりあえずワニ騒動に関しては、嫌いなものな嫌いでいいし見たくないなら見ないでいいとは思う。「グッズ展開悲しいな」くらいは言ってもいいと思う。でも内情をよく知りもしないで「ワニが好きだから」を免罪符に作者や関係者を悪し様に罵ったり関連してそうな事象を引っ張り出して批判するのは節操ないグッズ展開並に品のない行為であると思う。


インターネットって怖いツールで、「あいつが使ってるから俺も買おう」くらいの勢いで「あの人が怒ってるから俺もあいつを攻撃しよう」って雪ダルマ式に怒りが広がっていくのね。だから最初は「もう怒ったぞう🐘😠」くらいの感情が最終的に「死ね殺す死ね殺す」くらいまで発展しかねない。


実際に今回の騒動について私見をまとめたいくつかのブログにも「金儲けの匂いを嗅ぎ分けて群がってるハエども」なんてひどいコメントがついているのを見ている。そりゃ「ワニはいつ死ぬの?彼女はいるの?調べてみました!」みたいな記事ならそうだろうけど、本人なりに真面目に考察してるのにもハエっていうのはいくら何でも失礼だよ。金儲け企む人より邪悪だと個人的に思う。


この記事もハエブログと読めばそう読めなくもないし、ハチブログかもしれないしアリブログかもしれない。少なくともワニブログではない。というか、ボチボチ書いてるうちに増田からもワニの気配が引いてきたね。諸行無常。おしまい。