あのにますトライバル

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増田で叩かれるには理由がある・2

 ただでさえ暑苦しい陽気なのにとても生暖かい気分になったので書いておく。

 

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 本当にこの増田が「元増田」と同一人物なら、ちょっと、いや、結構、うーん、あんまり、いやぁ……な人物だと思う。その理由を元増田も見ながら考えてみる。

 

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 要訳すると「タイムマシンがあったらいいのに」という言葉を聞いてその意味を取り違えた結果喧嘩になって会社を辞めた女の子がいた、ということらしい。そしてそれを記した増田本人を叩く流れになっている。以下増田が叩かれた理由を列挙する。

 

理由1:長い

 この増田はおそらく「面白いことを言ってやろう」という動機で書かれてるはず。面白い話にはスピード感が求められて、観客は「オチは?」と思いながら聞いたり読んだりするものである。ところがこの増田は本題の「タイムマシンの取り違え」に行くまで「AさんとBさんの人物設定」「会社の様子」などを長々と説明している。そして会話のパートも何行も何行も同じような台詞を重ねている。

 

 この増田を開いた読者は「どれどれ、アンジャッシュというからにはどういう風に面白い話なのかな」と思って読み始めます。ところが最初は会社の説明や細かい人物設定ばかりで「面白い」ところが全くありません。そうやって「面白くないな」と思ったところで「タイムマシンが……」と始まる。そうなると読者は「この話し手はつまらん奴だな」と思ってしまい、話の内容にもバイアスをかけてしまいます。

 

理由2:勿体ぶっている

 元増田の性格が悪いと言われているけれど、文章をよく読めば読むほどその原因が見えてきます。例えば冒頭の4行から正直「たるい」のです。

 

私が前に勤めていた会社の話。

会社は、Web制作会社でした。クライアント企業からサイト制作を承る、どこにでもあるちっぽけな受託の会社です。

そこに、中途採用でデザイナーが入ってきました。まだ若いけれども、前職でもWebデザインをしていたという女の子です。

その子をAさんとします。

 

 この文章に含まれる情報で今後のやりとりに重要なのは「Web制作会社」「中途採用で入ってきたAさん」だけです。その他の情報はぜーんぜんいらないのです。日常会話でこのような話し方をする人が目の前にいたら、多くの人は「勿体ぶった話し方をするなあ」と思うでしょう。そしてそれがプラスに転じることはあまり多くないと思います。勿体ぶっているというだけで結構マイナス評価が与えられてしまいます。以下読んでいて「カチン」とくるポイントを列挙してみます。全部に赤を入れていたら真っ赤になるので本当に気になった部分です。

 

Aさんは、即戦力として期待されていましたが、まだ若いということもあり、会社のローカルルールなどにも慣れてもらうため、教育係がつくことになりました。

 中途入社でも最初は教育係と言うかそういう世話役が着くのは当たり前ではないのでしょうか……?

 

しかし、その性格が後に仇になろうとは…

 そういう勿体ぶった前振りは面白い話をしたいなら言わないほうがいいと思う。

 

彼女は長く勤めていましたが、家庭があるので、パート勤務でした。

  共働き世帯が増えている昨今、家庭があるからパート勤務という因果関係がわからない。増田の思い込みの可能性が高い。

 

(そりゃ家のことがあるし、さっさと帰りたいがためのパート勤務でしょう…)

 増田の推測なんて限りなくどうでもいい情報だし、この件では全く無関係の情報を括弧書きにしたらウザくなる。

 

デザイナー経験のある方ならおわかりいただけるでしょう。

 デザイナーじゃなくても作業してたのが突然パーになることくらいの恐ろしさは誰でも理解できるわ!バカにしてんのか!お前は本当にあった呪いのビデオか!

 

そう、この時も確か夜の8時頃でした。

 そう、って誰に向かって言ってるの? この時もって、他の事件も8時ごろに起こったの?

 

そんな時、Aさんが事件のきっかけとなる一言を発しました。

 だからさっさと事件の話をしなさい。

 

「タイムマシン、ないんですか~?」

とBさんに質問したのです。

そこで初めてBさんが

「はぁっ?」

と切り替えしました。

Aさん「タイムマシン、ないんですか? この会社」

Bさん「はぁ?」

  二回も同じことを続けて書くのはよっぽど重要なことか何も考えていないかのどちらかだし、この場合は二回続けることで限りなく文がウザくなっている。

 

忙しいってのもあったのでしょうけど、Aさんの不思議ちゃんっぷりにも、前からイライラしていたのかもしれません…

 なんでBさんの心情を増田が勝手に想像しているのかわからない。

 

さて、ここまでお読みいただいた方のうち、Macユーザーの方ならお分かりいただけましたね?そう、Timemachineとは、Macに搭載されている自動バックアップシステムです。

 この増田、「さて~」「そう、~です」の言い回しが好きだな。「おわかりいただけましたか」が許されるのは本当にあった呪いのビデオだけだと思う。それか変なブログの書き方講座で変なライティング術を習ったのかな……。

 

(ちなみに私がその数少ないMacユーザーで、上記やりとりを見ながら、吹き出しそうになるのをずーっと堪えてましたw)

 ここが一番批判されているけど、読めば読むほど味のあるウザい文だなぁと感心する。「私が数少ないMacユーザー」という辺りから「windowsなんて使ってるのはダメダメだなぁ」というなんか変な視点を感じるし、吹き出しそうになるのを堪えているくらいなら間に入って説明してあげればいいのにってなるし、何より最後の「w」がよくない。非常によくない。「w」を使うタイミングは少なくともここではない。最近の「w」にはただ笑っていただけではなく「嘲笑」という意味合いが込められている。つまり「女二人がどーでもいいことで喧嘩してやらぁw」というニュアンスがこの一文に込められてしまった。知らなかったでは済まされない。増田に弁解の余地はない。

 

適当にいなしても食い下がってくるAさんに、ついカっとなって怒鳴ってしまったとのこと。もちろんタイムマシンがそういうものだと知っていたら、そこまで怒らなかった、と後に彼女は語っています。

 ここまで読んで来たら何なの、何視点なのコイツと読者は思う。神視点を気取って「後に彼女は~」とか書いているけど、括弧書きでどーでもいい心の声をだらだら書いてるんだったら最初からどっちかに統一したほうがいい。神視点なら神視点で最後まで書いてほしいし、何らかのバイアスのかかった彼女らの愚痴記事ならそう書いてほしい。

 

・データのバックアップを取る仕組みを会社が用意していないのはおかしい

・以前の会社では、Timemachineが用意されていたMacで業務をしていた

Windowsを使うことに抵抗はないが、そういう仕組みがない会社では働けない

・TimemachineはMacユーザーには常識。Macのことも知らずにこの業界で仕事をしている人たちがいるなんて信じられない

・というか、Macでの動作検証とかどうしてるんですか?(←一部の人が個人の端末でチェックしてるだけ。してない案件も多い)

・なので辞めます

  えー、それ箇条書きにして読者に伝えなきゃいけないことなの……? 全然いらない後日談を無理矢理見せつけられているみたいで蛇足オブ蛇足だけど。

 

 以上のように、話の内容よりも増田の書き方が読者をイライラさせるものなので増田叩きにつながったと考えられます。会社の対応とかそういうのと別次元なんだよなぁ、このイライラは。

 

理由3:内容そのものが不快

 上記のように勿体ぶった内容に加えて、実はこの増田には読者を不快にさせる要素がいくつか潜んでいる。ひとつは「不思議ちゃんのAさん」という視点。Aさんが不思議ちゃんであることを何回も強調していて増田としては「アンジャッシュのコント」にしようとしていたけど、やはりどこかでAさんを笑いものにしようという意図が見える。

 

 それに理由2でも触れたけど、Bさんのことも増田は下に見ているように書かれている。「家庭があるからパート」という決めつけが謎だし、「結婚した女は所詮パートしかできない」という言説にもつながっている。

 

 そして致命的なのが「Macユーザーがwindowsユーザーを見下している」という視点。「タイムマシンも知らないの?ふふん!」という感じ。Macのタイムマシン機能を知らない読者はそこが鼻についたのではないだろうか。

 

理由4:読解力とか現国とか言い出す奴にロクな奴はいない

 そして追記が限りなく不快。上記のように叩かる要素はたんまりあるのにそれをすっ飛ばして全て読者のせいにする。7行で人をイラつかせるすげぇ文章。成りすましでこれが書けているなら相当なプロだな。

 

元増田です。

ブコメへの反応もふくめて、みんなー! 読解力〜!

この会社がブラックなのはみんな判ってますから〜〜〜!

5chで「元職場のブラック所業で打線くんだ」みたいなスレ立てれそうなぐらい、いろいろありますから〜〜〜!

本筋、ね? 本筋!! 話の!

学生時代、現国の先生に怒られなかったかな☆?

 

 読解力を駆使して上記の話を理解しようとしても、余計な情報ばかりで話の本筋が全然入って来ないんだわ。そんで増田が叩かれてるのが会社がブラックかどうかではなくて「何故その取り違えのときに間に入ってやらなかったのか」なんだけど、そこは理解できてるのかな? 元増田、読解力~!! 話の、本筋を、ちゃんと、簡潔に、書いて!! Bさんの情報とか会社がブラックとか余計なこと書かないで本筋、ね? 本筋!! 話の!!

 

 そしてとどめの「☆」はなんだ。後で体育館裏に来いって言われても仕方ないくらいにウザイ。あと全体的に「~~~」が多いのが気になった。増田は夢小説かなんか書いていたのか? よく考えるとこの文章自体夢小説とかそっち系のフォーマットだよなぁ……。

 

 叩かれた増田の健康状態やメンタルを考えれば「叩く方が悪い」と思うのはいいと思うけど、やっぱりこの書き方はよくない。後足で砂をかける、とでもいうのだろうか。何にしろ増田の人柄も推して知るべし、というところかな。

 

まとめ

 そんなわけでイライラしないようにリライトしてみた。

私が前に勤めていたブラックなWeb制作会社での話。

中途採用で入ってきたちょっと不思議ちゃんなAさんが業務中に突然大声をあげた。

Aさん「2時間かけてやった作業間違えて消しちゃった!」

みんなでAさんを慰めていると、Aさんの教育係のBさんにAさんが言った。

Aさん「タイムマシン、ないんですか? この会社」

Bさん「はぁ?」

Aさん「だから、データが飛んじゃったんですよ。タイムマシンがあれば復活できるじゃないですかぁ」

Bさん「はぁ? 冗談言ってんじゃないわよっ! こっちだって忙しいんだから!」

Aさん「タイムマシンのない会社なんか信じれられない!」

Bさん「ここは会社よ! タイムマシンなんてないんだから、こまめに保存してなかったアンタが悪いんでしょ」

Aさん「会社だからこそタイムマシン用意しとけってんだよ!」

Macユーザーならわかると思うけど、TimemachineとはMacに搭載されている自動バックアップシステム。この会社は全員Windowsで、個人でMacを使っている人も数えるほどしかおらず、ほとんどの人はTimemachineがMacのバックアップシステムだと知らなかったため、こんなかみ合わない話になってしまった。

Aさんはすぐ会社を辞めたし私も辞めたけど、まるでアンジャッシュのコントのような出来事だった。

 ポイントは「事件のことだけを簡潔に書く」「人物の詳細な説明はいらない」「筆者の感想は極力書かない」「もったいぶらない」という感じ。増田が伝えたかったのはこの取り違えのパートだけなんだから、それ以外は全部カットカットカット。余計な情報は余計なヘイトを招く恐れがあるので注意が必要だ。

 

 ここまで文章についてこき下ろしたけど、たぶん増田は普通にいい人なんだと思う。ただ文章の書き方が悪いだけでこんなに叩かれてしまう。やはりインターネットは人類には早かったんだと思う。おしまい。

 

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