あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

8月10日の話

〇暑い。溶ける。おんもに出られない。今朝は涼しくて良い。

 

〇ゼリア製薬の新人研修が話題だけど、あんな新人研修を昔やったことがある。そろそろ時効だろうと思うので書ける範囲で思い出してみる。まず入社式の直後に2週間山の中に閉じ込められる。これは脱走の防止の他に接客業であったため大声を出す練習があったからだと思う。流行りの軍隊式の社訓暗唱とかキビキビ体操みたいなのを意地でこなす。正直頭より身体を酷使するもので、山から解放されたときは身体がボロボロであった。

 

〇社歌を歌えというテストがあり、上手に歌うのではなく「心を込めて歌え(怒鳴れ)」という課題であり、精一杯怒鳴り声を上げて歌った。だけど試験官曰く「歌はよかったが最後でほっとして素に戻ったのがダメ」という理由で不合格。喉に悪い歌の練習が続いた。正直これは心を折りに来ているとしか思えない。

 

〇最終日は「自分のダメだったところを大声で発表し、その後研修に来て生まれ変わったことを発表する」というものだった。何が辛いかと言えば「自分のダメなところ」を大声で言わなければいけないというところで、その前のミーティングで徹底的にダメ出しを受ける。そういう過程の中で例の自殺してしまった人は折れてしまったんだろうと思う。個人的には後述する理由で「早く帰りたい」という思いから何かひどいことを言われた気がするけれど全てを受け入れてしまった。それから「自分は今まで他人に頼らず生きてきましたが、本当は人間は弱くて一人では生きていけない。これからはチームワークを大切にします!」みたいなことを大声で怒鳴ることで試験官が「君も立派なわが社の一員だ!」みたいに涙ぐみながら握手をしてくる。ここまで来ると脳が考えることを拒否して、言われたことをそのまま鵜呑みにしてしまう。

 

〇そして支店に配属されたのだが、ぶっちゃけ研修で習ったことは一般論ばかりなのでひとつも役に立たず、バイトからは「長い期間研修したってのに使えねえ」と思われる。当時は理不尽だなぁと思ったけれど、今なら研修の方がおかしいと胸を張って言える。それから「これはヤバいぞ」と思い転職が出来たけれど、1年ほど洗脳状態は続いた。今だからこそ言えるけれど、あれはヤバい。逃げ場がないから溺れる者はアホ理論にすがるみたいなものになる。というか、わざと溺れさせたり泳げるものは叩いて海の中に沈めてから「助けてほしいか」と聞くようなものだ。それは本当にやめてほしい。

 

〇それから個人的に研修がきつかった話。班ごとに寝起きをするのだけれど、7~8人の班の中に明らかに高卒メンヘラが数人。何故か自分に「年長(大卒)なのだからそいつらをまとめなさい」という指示が。今ならはっきりと「何で精神病んでるあいつらの世話を同期だからと言う理由で見ないといけないんですか」と言えるけど、当時は研修の洗脳空気もあったので「わかりました」と言うしかなかった。

 

〇自分だけでも精一杯なのに「連帯責任」ということでメンヘラの面倒も見なければいけない。「怒鳴られるのが怖い」「過呼吸を起こす」というメンヘラを引きずって食堂に連れて行ったり寝込んだメンヘラのために部屋に食事を運んだり。それに加えて座学の時間もあり、算数の問題が出来なかった高卒メンヘラに「連帯責任」と言うことで割引とか分数の計算のやり方とかを教えると「頭いいんですね(嫌味)」と言われる。後にこいつから「大学生なんて遊んでいるだけなのに高卒と大卒の給料が違うのはズルい!」と言われた。また寝込んでいるメンヘラが夜中に許可を貰って電話をしているのが聞こえてきた。父親が過失で交通事故を起こしたらしいこと、それに伴う借金をどうするのかという内容だった。これらの話は「格差とは何か」を考える上で生涯忘れることはないだろう。

 

〇そいつら以外にも過呼吸や体調不良を訴える人がかなり多く、ホテルのその辺で人がごろごろ倒れてて紙袋でふーふーやってるようなところに2週間いたら、まぁ少しおかしくなっても仕方ない。限界が来たので最後3日くらい「せめて夜だけでも別室でひとりになりたい」と申し出ると「お前はそういう部下を持ったら見捨てるのか」というような理屈で却下された。今思えばそれとこれとは話が別だったと思う。というか、元々メンタルヘルスがガタガタの人に対して更にメンタルを崩すような真似をしておいて何も知らない人に「面倒見ろ」って、なかなかすごい状況だと思う。

 

〇そんな感じでメンタルが弱っているところに「お前の親はお前を愛していない、お前の友達も結局助けてくれない。目の前にいる私たちだけが頼りだぞ」と吹き込んだ人事のことは生涯恨もうと思う。実家に帰ってメンがヘラヘラしているときに親に人事から言われたことをそのまま言ったらビンタされて滅茶苦茶怒られた。そこで「よからぬ洗脳を受けた」ことを実感することが出来て、何とか軌道修正をすることが出来た。

 

〇全国の親御さん、大事な娘息子が就職してから様子がおかしいと思ったら洗脳研修を受けていないか確認をしてください。そんで洗脳されていたら全力で怒ってください。洗脳なので言葉は通じません。怒鳴られて脳が委縮しているので更に強い力を加えることが良いかと思います。

 

〇思い出していたらお腹が痛くなったのであまり思い出さないほうがいいことなのかもしれない。一刻も早くこういうタイプの研修は国で指導して規制してほしい。