あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

ざらざらとした感情

 野崎まどの『know』を読んでいる。

 

 読んでいると言っても、冒頭の数ページを開いたに過ぎない。だけど、そこで既に心がざわざわと動いて仕方がないので非常にどうでもいいことだけれど今の気持ちを書いておく。

 

 冒頭のシーン。一夜だけの関係の男女が目覚めるところから物語は始まるらしい。先に女の部屋で目が覚めた男が、女のために朝食を作る。もうこの状況だけで「この野郎」という感情が暴れてどうしようもない。一夜だけの関係とか、そういうのが嫌だというわけではない。問題は「よく知らない他人の台所に勝手に入る」というところだ。

 

 台所は女の聖域、という言葉があったけれど、やはり普段から台所を使っていない人にいじられるのはどうにも気分がよくない。何故だろう、食事を作る段階にプライベートもプライバシーもないはずなんだけれど、使いかけの調味料や食材のストックを見られるのは、何だか非常に恥ずかしい。下着の棚を覗かれるような、そんな感覚に近い。

 

 そんなわけで、「一夜だけの関係の女のキッチンに入って勝手に朝食を作る」という行為にただならぬ無神経さを感じてしまい、数ページで「けしからんけしからん」と思ってしまっているわけです。もちろん話の筋としてその後に関係があるなら全く問題はないし、そもそも話は何も始まっていないので「この本は面白くない」とは全く思っていない。ただ、冒頭の掴みは個人的に最悪で、逆に「この後どうなるんだろう」とは思っている。

 

 もちろん「朝起きて朝食が出来ていたら嬉しい」なんて思う人もいると思うし、「そんなことくらいで腹を立てるとは心の狭い奴め」と思われても仕方がないと思う。ただ各個人に「許せない」というラインがどこかに存在していて、それを突破すると周囲からは何故怒っているかわからないけれど何だか怒っているという現象が発生する。だからなるべく周囲の怒りには敏感でありたいと思うし、鈍感さゆえに怒りを生産している人には不安を覚えて近づきたくなくなる。

 

 とにかく、一夜限りの朝に台所には立ち入ってほしくないし、もし相手の家だとしても絶対に立ち入らない。許せるのは勝手に冷蔵庫を開けるところまでだ。勝手にフライパンを使うな勝手に調味料をいじるな。誰が使った器具や皿を洗うと思ってるんだ。

 

 で、この『know』なんだけどまだここまでしか読んでいないので全体の感想も何もないので機会があればどこかで全体の感想も書けたらいいかなと思っています。それとは別に、この本はamazonの欲しい物リストに入っていたので中古で購入したのですがいつ欲しい物リストに入れたのかさっぱり覚えていないと言う微妙にもやもやする出会いをしています。普段はヨドバシでお買い物するのでamazonはたまに覗く程度なので欲しい物リストは活用していなかったのですが、何故かこれだけポンと入っていたのです。もしかしたら数年前に入れておいてそのまま、という可能性もあるのですが何故これだけが入っていたのか本当にわからないのです。それもこれも本を読んだら何かわかるかもしれないので、ちゃんと最後まで読もうと思いました。おわり。

 

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)