あのにますトライバル

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エスパーニャンコショックでカラ松不在の松野家など

 一度書こうとして根が深すぎて辞めたはずだけど、やっぱり書いておこう。日記だから。

 

 各界隈でざわざわしている『おそ松さん』なのですが、やっぱり第5話の『エスパーニャンコ』が辛すぎた。「感動回」「泣けた」という感想であふれかえっていたので勝手に「一松の仲良し猫がいなくなって、みんなで探して見つけました」っていう回なのかと思っていたらヤラレタ。非常に心を抉られる話だった。これからの話は1~5話を視聴した上での話なので未視聴かつ見る予定のある方はご遠慮いただけると助かります。

 

【5話の流れおさらい】

カラ松事変

・カラ松がチビ太の店のツケのカタに誘拐される

・六つ子、カラ松を忘れて梨に夢中になる

・誰一人助けに来ないことを嘆くカラ松に同情するチビ太

・再び夜中に家の前でカラ松を人質にとる

・六つ子、カラ松に物を投げつけ重傷を負わせて終了

 

エスパーニャンコ

・十四松が提案して、一松の猫が人の本音を喋るようになる

・「友達なんかいらない」という一松

・「本当は寂しい」と一松の心の声を代弁する猫

・怒って一松は猫を追い出す

・猫との再会を諦めたとき、十四松が猫を見つけてくる

・仲直りして、みんなで家に帰る

・その後ろで満身創痍のカラ松が「扱いが全然違う!」と叫んで終了。

 

ニート達(特に一松)の闇】

 で、これ単体で見ると普通にギャグアニメでもいいと思う。エスパーニャンコが街中でぶっちゃけまくるシーンとか大好きだし、「気持ちイイクスリ」とか何度見ても笑う。だけど、この5話でそれまで何とか被っていた「ギャグアニメ」の皮を完全に脱ぎ去った感じはした。そのくらい一松の本音をぶっちゃけたエスパーニャンコの言葉は強烈だった。

 

「怖いんだよな、人と距離を縮めるのが」

「期待を裏切っちゃうかも、自分が」

「友達なんかマジいらねえ、だって僕にはみんながいるから」

 

 これが高校生くらいまでだったら「そういう青春ドラマだ」みたいに済ませることができるかもしれない。だけどこれは家で出てくる梨に夢中になるニート達の物語だ。はっきり言って笑えない。特に最後の言葉は裏返すと「ボクは家族に依存しています」ということになる。一層笑えない。

 

 猫は言葉がわからないから友達でいられると言う一松。2話で猫になっていたのは何だったんだとかそういうのは考えない。傷つくかもしれないから最初から自分の方で拒絶する。兄弟からいじられるのは構わない、だって家族だから。だけど他人が距離を縮めてくるのはダメだ。まるでひとりぼっちで戦ってきたマミさんみたいだ。

 

 

【一松回におけるカラ松の不在】

 そしてもうひとつ物議を醸しだしたのが「エスパーニャンコにおけるカラ松の不在」だった。AパートのノリをBパートまで単純に引きずった、だけではなさそうだ。ファンの間では既に言及されているのが『就職しよう』で発覚した「カラ松にいじられたときの一松はヤバい」発言で、この二人の間柄がカラ松の不在と関係あるのではとささやかれているのだ。

 

 カラ松は『おそ松さん』においては「カッコつけの遅れてきた中二病」というキャラになっていて、スパンコールのズボンを履いたりトト子ちゃんの家にバスローブとワイン片手に行ったり、謎の「カッコつけ」をしている。ただそのカッコつけはハリボテのカッコつけで、『自立しよう』の面接のときにカラ松だけ他の兄弟と違って自分の推しポイントを全く出せていないのである。*1他の兄弟と比べて内面における「これ」というものがないからそれを隠すように自信たっぷりなことを言う。そこが自信のなさから周囲を拒絶する一松と反発していて、複雑な関係になっているのではないかというのだ。カラ松は兄貴として一松を大事に思う一方、一松としては自分を理解してくるうっとおしい存在なのだろう。

 

 もし『エスパーニャンコ』回にカラ松がいたとしたら、『就職しよう』と同じように多分エスパーニャンコの本音を聞いてもカラ松は「俺はお前のこと信じてるぜ」と言うと思う。何故なら一松の本音はカラ松も共有しているものだと思われるからだ。よくよく考えれば『おそ松の憂鬱』で明らかになったプライベートも、彼らはチョロ松やトド松と違って、どちらも積極的に他人と関わるものではなかった。*2カラ松はナンパをしているように見せて、ただ通りすがりの女の子に自分の理想を照らし合わせて妄想していただけで、一松に至っては完全に人間と交流することを拒絶している。

 

 つまり、カラ松が話に絡んできたのでは十四松が逃げたニャンコを取り戻すというプロットそのものが崩壊しかねない。だから物語の制約上と「扱いが全然違う!」というギャグを作るためにあの話でカラ松が除外されたのだと思う。ストレートに一松の話を作るには、カラ松が邪魔だったのだ。

 

 それにしてもカラ松の不在は確かにひどい。しかも梨に負けている。この辺はチョロ松がおそ松は「おそ松兄さん」と呼ぶのに対してカラ松は「カラ松」と呼び捨てにしているところと関連しているのかもしれない。

 

【十四松の謎】

 で、カラ松と一松の複雑な人間模様もあるのだけれど『エスパーニャンコ』における重要人物は十四松だ。気持ち薬の投与は「異様に明るく、異様にバカ」な彼なりの兄さん孝行のつもりだったはずだ。それがとんでもないことになってしまい、おっさんの裏側の匂いを放ちながらもニャンコを探し出すという快挙を成し遂げる。

 

 ただ、彼が野球に固執する理由がよくわからない。野球のユニフォームを着てドブ川を泳いでいたり、被扶養者面接で何故か肩の強さをアピールしたり、トト子の家に行っても野球をしようとしていた。ここまで一松とカラ松について詳細な人間模様を描いているので、きっとこの野球バカにも何か理由があるのではないかと思う。例えば甲子園一筋で毎日野球をやっていたら野球しか知らない人間になってしまった、とか。いい大人がぶらぶら野球をすると言えば『木更津キャッツアイ』なのだけれど、野球と言うスポーツにはそういうイメージでもあるのだろうか。確かにサッカーやバスケにはそういうイメージはないからなぁ。

 

 ちなみに『エスパーニャンコ』の最後で「ごめんね」っていうのが十四松の声だということになっているらしいけど、あれは「なんだよ」って言った一松の本音だと思う。十四松は言葉は喋っていないので、多分ニャンコは「なんだよ」に反応したんだろうなと思いたい。

 

 

  なお、『おそ松さん』視聴の動機が自分の場合「あさき作詞の女性ボーカル」が好きなのでOP目当てというのが7割くらいだったので1話のアレはOP目当ての客に度肝を抜かせるという意味であの尺だったんじゃないかなぁと思うのです。どう見てもラーメン博物館なPVも面白い。第1話で「出口の見えない迷宮」に迷い込んだのは六つ子ではなく、視聴者だったんじゃないかと思う。なんだこのアニメ。ほんとイミわかんないざんす。

 


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*1:うまくやったおそ松と一松の真似をしているだけ

*2:十四松はよくわからないので除外する