あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

基本に忠実であるということ

 この前「メシマズ嫁」っていうバズりやすいネタがバズって未だに「メシマズネタ」がちらほら見受けられる世の中なのでちょっと料理の話をします。ただ料理を中心にした話と言うことで別にレシピとかそういう話じゃありません。

 

 自分は料理が好きで、材料をそろえて切ったり焼いたり味付けをしたりするのが楽しいと思っている。それで周囲にも「料理を楽しんでもらいたい」と思って、自分が主催して料理教室を開くことにした。教室と言っても、できれば今まで料理をしたことがない人にも料理をしてもらいたいので「初心者歓迎!」をメインに打ち出した。それに講師がどうのこうのというより、ワイワイみんなで料理を作り合うほうがいいだろうということでキッチンを提供していろんな料理を作ってもらうことにした。最初は物珍しがってたくさんの人がやってきていたが、最近は料理をすることが気に入った人たちが定期的にやってくるだけになっている。それで自分は当初の目的は果たせているので特に問題はない。

 

 ただ、たくさん人が増えてくると「場を提供する」だけでは収まらない時がある。料理に興味があるけれど、料理をしたことがない人に「とりあえず作ってみようか」と声をかけるのは大事だけど、パン切り包丁で魚を捌いてみたり卵の殻がうまく割れなかったりと予想もしない動きをすることがある。それは「初心者」だから仕方のないことでだけれど、できれば卵の殻を割る練習くらいはしてほしいところである。

 

 もっと人が増えると、多分「卵の殻なんて割れなくてもクッキーくらい作らせてもらえるでしょ」という人が出てくる。そんでうまく卵も割れないのにクッキーを作るものだから卵の殻入りクッキーとか平気で作る。本人はそれをよくないものとは思わない。何故ならその人にとって「卵の殻がうまく割れないのは当たり前」だから、卵料理には全部殻が入っていると思っているからで、そういう人に「卵をきちんと割りましょう」と言っても無駄なのである。それで殻を割る練習をしてくれるならいいけれど、開き直って他の人の料理にケチをつけ始めたり先輩面して新しく来た初心者に卵の殻入りクッキーを教えられては始末が悪い。そういう人が来ないことを祈ることくらいしかできない。

 

 そこでいわゆる「メシマズ」っていうのはそんな風に「卵の殻入りクッキー」を当たり前だと思っているから「私の言うことにおかしいことなんてあるはずない」って思っている人のことだと思うのね。これは料理に限らないで、人のアドバイスをとりあえず聞けない人は何をやっても上達はないと思う。例えば上手な野球選手がフライを取るときにカッコつけて一回転してキャッチしたのがかっこいいからってわざわざ社交ダンスの衣装を着て外野手をやりたいっていうようなものだ。その人にとっての目標は「フライをとること」ではなく「一回転すること」だから、基礎練習もキャッチボールの練習もしない。それでいて「一回転してボールが取れるように教えろ」っていう感じ。

 

 じゃあそういう初心者が全部悪いのかって言えばそうでもなくて、やっぱり周囲の「言い方」次第なのではないかと言うところもある。見当違いの初心者にダメ出しをするのにクックドゥの素ばっかり使っているようでは話にならない。できれば基礎の味付けを覚えて、包丁もある程度使えるようになって初めて他人に響くアドバイスができる。そして自分の経験談を踏まえて話が出来れば、いい方向に向かうんじゃないかって思う。ただ「お前はダメだ」ではダメなのは当たり前。そこをどう気付かせるかも大事なところだ。もちろん「当たり前」を噛み砕くのはものすごく大変ということは忘れてはいけないけれども。

 

 いろいろ書いてきたけど、ひとつだけ言いたいのは「何事も基本が大事で、ルールを逸脱していいのは基本をしっかりできる人だけ」だと思うのね。わかってやっているのか、それともわからないで「わかってやっている人の逸脱」をただ真似しているのか。その違いはかなり大きい。まずはルールを守ろう。すべて話はそれからだ。