あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

最近炎上しやすい桃太郎

 昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へ軽装備で登山に行き、おばあさんは川へナチュラル石鹸を持って洗濯に行きました。

 

 おばあさんが川でロハスな洗濯をしていると、川上から大きな桃がショーニンヨッキューショーニンヨッキューと流れてきました。おばあさんは早速桃を拾うと写真を撮ってTwitterに拡散しました。

 

これはひどい。こんな巨大化した桃はきっと放射能で汚染された地域で育ったに違いない。生態系が破壊されていることから目を背ける現政権に制裁を。」

 

 ツイートはおばあさんの自演説で炎上しました。

 

 おばあさんはおじいさんに桃を見せるために家に持って帰りました。山でうっかり遭難して救助されたおじいさんは「みなさんのおかげで無事下山できました」というツイートをしたところ「老害が楽しみで山に登るな」と燃えている最中でした。アカウントを非公開にしたおじいさんとおばあさんは桃の中身を確かめるために包丁で切りました。すると、なんと中から男の子が出てきたではありませんか! おばあさんは早速2枚目の写真を撮ってTwitterに拡散しました。

 

「桃の中に赤ん坊が入っていた。子捨てをするほど格差は広がっている。現政権は弱者を見殺しにしなければ気が済まないらしい。」

 

 ところが予想外に、「食べ物に赤ん坊を入れて遊ぶな」という観点でおばあさんのツイートは炎上しました。連続でツイートが炎上したため、おばあさんのフォロワーは急増しました。2ちゃんにはおばあさん専用スレが立ち、さらにホリエモンがおばあさんを擁護したことでおばあさんのツイートは各まとめサイトに貼り付けられ、おばあさんはちょっとした有名人になりました。

 

 ところで桃から生まれた男の子は桃太郎と名付けられ、大切に育てられました。桃太郎はおばあさんの炎上テクニックを受け継ぎ、幼いながら「タバコなう☆やっぱりマイセンだよなー」と自撮り画像をTwitterにあげ、「チャリできた」素材並の扱いを受けていました。そして「桃太郎のかかってこいよ人生相談」というブログを立ち上げ、竹原慎二ばりのボコボコな解答に一部コアなファンが生まれました。

 

 そんなある日、鬼が島というところで鬼が悪いことをしているらしいという噂を桃太郎は聞きました。「これはブログのネタになる」と思い、おばあさんにガソリンたっぷりのきびだんごを作ってもらうと急いで出かけて行きました。

 

「桃太郎さん、桃太郎さんではありませんか!?」

 

 道中、桃太郎は犬に会いました。犬は自称大人気プロブロガーを名乗り、よく桃太郎のブログを引用して記事を書いているとのことでした。

 

「それはガソリン入りのきびだんごじゃないですか! ひとつ私に下さいな」

「鬼退治についてくるならあげてもいい」

「はいよろこんで!」

 

 犬はガソリン入りのきびだんごを使用して、自分のブログに『批判をしたい人は絶対に出世も成功もしない8つの理由』というタイトルの割にいろんなことを批判している記事をブログに投下し、見事に燃えることができました。

 

 しばらく行くと、今度は猿に出会いました。猿はブログでお金を稼いでみたいと思っていましたがネット初心者で、ちょうどTwitterのスパムアプリに困っているところを桃太郎に助けられました。

 

「私でもブログで儲かることができるでしょうか」

「このガソリン入りのきびだんごと鬼退治に来れば必ず成功するよ!」

「参考になります!」

 

 猿はガソリン入りのきびだんごを使用して、「ベビーカーは邪魔以外の何物でもない」というタイトルの記事を投下し、タイトルだけで燃えることができました。この炎上にハマった猿は桃太郎に傾倒していきました。

 

 しばらく行くと、雉に出会いました。雉はブログはしていませんでしたが、桃太郎の大ファンでした。

 

「本物の桃太郎さんに会えたなんて幸せ!」

「ガソリン入りのきびだんごをやるから、鬼退治に付き合ってほしい」

「よろこんで!」

 

 雉はガソリン入りのきびだんごを使って、おばあさんのツイパクを始めた上にそれをTogetterに自分でまとめてしまいました。パクツイは滅びろと大層炎上しましたが、雉は「落ちていたものを拾って何が悪い」と反論。おばあさん信者が大量に押し寄せてきましたが桃太郎が「おばあさん信者キモイ」という声明を発表。さらに犬が騒動をブログにまとめるという連携プレイで難を逃れました。

 

 鬼が島に着くと、鬼たちは大規模なオフ会を開いていました。オフ会の出し物が気に食わないと言い出した女の鬼が怒って出ていき、それを一人の鬼が追いかけオフパコ案件になったタイミングで桃太郎たちは鬼退治を始めました。

 

 まず、雉がオフパコの証拠を押さえ、連ツイでTogetterにまとめました。桃太郎が「オフ会とかキモイ」という記事を書いた後、「そういうのは人それぞれだと思う」という猿の反論に見せかけた自演記事を投下。それを犬がまとめ記事にしました。この騒ぎにネットイナゴたちが乗り出して「鬼最低だな」「鬼の記事は読まないようにしようぜ」と大騒ぎ。鬼たちは責任を擦り付け合って、ついに皆がブログをやめ、訴訟にまで発展しました。

 

 鬼をやっつけた桃太郎は鬼退治記事で得たPVで食べていくことを決断。ブログタイトルも「桃太郎のかかってこいよ人生相談」から「まだ鬼が島で消耗してるの?」に変更。鬼ヲチャーとして不動の人気を得ることができました。

 

 ところがブログ飯が軌道に乗ってきたところで、鬼たちが全面的に訴訟に入ったのでネットに姿を見せなくなりました。飯の種がなくなった桃太郎は、今度は竜宮城へ行く旅ブログに路線を変更しようと考えていると、ちょうど砂浜で亀をいじめている子供たちに遭遇しました。写真を撮ってから亀を助け、その写真をTwitterにあげました。

 

「亀いじめられてるwwww救出うぃるwwww」

 

 ツイートは「写真撮ってないで早く助けろ鬼畜」というリプライで炎上しましたとさ。めでたしめでたし。