あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

嘘松についての覚書

〇この記事は年明けから増田やtogetterなどを見ていて「2018年初頭において嘘松とは何だろうか」と思ったことをつらつら書いていくだけの記事です。そういうのに興味ない人はお帰りください。「嘘松ってなあに」という方はこの記事では親切に説明するつもりはないので自分で調べてください。グーグルでもヤフーでも検索すれば大体のことはわかると思います。

 

〇そもそも嘘松という言葉の発生源がかなり曖昧。一般的に「そのようなツイートをするアカウントのアイコンが大体おそ松さんだった」というのが通説になってるけど、「おそ松似のイケメンがいたみたいなツイートがバズって、それが非現実的な内容だったから」「このようなツイートが流行していた時たまたまおそ松さんが放映されていたから」みたいな説もあって、この辺よくわからない。現状「嘘松=釣り」と考えていいと思っています。

 

〇そして嘘松という概念と仲良しが「白ハゲ漫画」「長文スクショ」だと思うのです。「白ハゲ漫画」も同時期に現れた概念で、要は「わりと何でもないことをドヤァと漫画に描いて啓蒙する行為」だと解釈しています。「長文スクショ」もこの辺と親和性があって、根本的に「私ってすごいでしょ」というのが隠れているのが見ている人をイラっとさせているんだろうと思っています。

 

〇とは言えSNSなんて大体の人は「私ってすごいでしょ」と言う場なので、そんなに目くじらを立てて怒る必要はないと思っている。イラっとはするけど、だから何という感じではある。それがマルチ商法みたいなのに繋がっていると怖いと思うけど。

 

〇話が変わって、どうも最近「嘘松にマジレス」案件が増えたなあと思うのです。一昔前で言えば初動ブクマで「釣り」判定されているような記事がするっとホッテントリになって喧々諤々やってるなあという印象なのです。ここ最近だけでもこれだけ「あれこれ釣りじゃね?みんなわかっててマジレスしてるよね?」という気持ちになってます。

 

togetter.com

 

 これに関しては公式を当たっても「もともと女性向けのコンセプトだから」という以上の話は見つかりませんでした。ただ古い話だと2006年の2ちゃんに「ナンパする奴が多いから女子オンリーになった」という記述があったくらいでしょうか。それも信憑性が一切ありませんが。

 

6 :名無しさん ~君の性差~:2006/04/25(火) 15:21:32 id:fIk7L5LT
店内で女性客をナンパするバカ男が多くて女性客が迷惑するから
男オンリーは禁止にしたらしいよ。

【入店拒否は】タカノフルーツパーラー【性差別】

 

togetter.com

 

 これも古来より伝わる「妖怪いっぱい持ってるんだから少しわけてくれたっていいじゃないケチ」の文脈で話が終わるし、長文スクショだし……。ただ、投稿者のツイートを遡るとどうやら盗まれかけたのは間違いなさそうだ。多分長文スクショと注意喚起めいた説教がこの話を限りなく「嘘松」くさく仕立てあげている。 

 

anond.hatelabo.jp

 

 これはわかる人なら「牛丼屋」「親子連れに注意する」という組み合わせだけで鉄板の創作実話ネタだとわかるだろう。タイトルも釣る気まんまんのルアーがハリボテ案件だ。そもそも「子供が騒ぐ」っていうあたりに具体的言及がなくて、不快なレベルでぎゃんぎゃん声を断続的に出していたのか、微笑ましくきゃっきゃとしばらく笑っていたのかの程度が全く不明な状態で「うるさい子供」と断定することはできない。また、騒いでいたとき親は別のところにいたということは、子供を席に残して会計をしていたのかもしれない。「依然として」の時間の感覚もわからない。数十分放置しているなら問題かもしれないが、牛丼屋でのテイクアウトの待ち時間なんて数分くらいだろう。たまたまその部分だけを切り取られて「静かにさせろ」と言われたら、まぁ「バーカ」くらい言われても仕方ないと思うけどな。子供は電池で動くおもちゃじゃないから、静かにさせろと言ってもすぐに静かにはならないし、静かにさせようとして諦めた現場を増田は見ていなかった可能性もある。その後店を出てからもしつこく付きまとうあたりはもう「バーカ」でいいと思うし、完全に増田のほうが不審者だろう。

 

 この増田の釣りメソッドとして「俺悪くないよな論法」が使われていると感じる。主に小町や増田など長文系の釣り堀で威力を発揮する論法で、具体的には「彼女にフラれた」という題目なら「彼女にフラれた。毎日LINEをしたのに既読無視されてもそんなことをしたら他の男に嫌われちゃうよと優しくLINE送りまくっただけなのに二度と連絡しないでくれと言われた。だから俺は嫌いにならないよと言っただけなのに、心の狭い女だったんだろうか」みたいな感じのもので、「筆者の主観では相手が悪いことになっているが、客観的に見ると筆者側に非がある文章」は「文章のアラを指摘したい層」や「なんでもいいから説教したい層」に非常にウケがいい。

 

 詳しく分析すると、この「俺悪くないよな論法」が一番強く出ているのはここである。

 

自分は「ここは公共の場だから静かにさせなさいよ」と母親に注意した。

すると母親は「何言ってるんだバーカ」と暴言を吐いた。子供が公共の場で騒ぐのは当然と考えているようだ。

隣で喫食していた男性(母親とは無関係)も母親に同調するような発言をした。

 

 あくまでもこれは筆者の主観であり、本当に「ここは公共の場だから静かにさせなさいよ」と言ったのかどうかはわからない。「あっあの子供が騒いで迷惑だから静かにさせるべきかなぁとか思うんですけど!」とか「ちっうるせーよガキを静かにさせろ」とか言ったのを「ここは公共の場だから静かにさせなさいよ」と脳内で意訳している可能性もある。同様に「あなたには関係ないでしょう」というような母親の言葉も「何言ってるんだバーカ」と意訳して書いている可能性もある。トドメが無関係の男性がどのような同調意見を言ったのか書いていないところが怪しい。「さっきまでは静かでしたよ」とか「僕はそんなに気にならないですよ」なのか、とにかく筆者にとって都合の悪いワードがあったので具体的な台詞を出せなかったと見るのが妥当だろう。

 

 つまりこういうメソッドを素直に受け取って「キイィ許せない!」という気持ちを引き出すことが増田の最大の目的であって、こんな感じで必要以上に誰かを責める書き込みを見たら「まずは筆者を疑う」ということも念頭に置いたほうが穏やかなネットライフが過ごせると思う。そもそも「躾けのなってない親子」も「牛丼屋でエバる増田」も存在していない可能性が高い。見えないものに本気で怒ってもしゃーないからな。

 

b.hatena.ne.jp

 

 予想通り記事が消えてしまったのではてブのコメントで。おそらくこれは釣りではないと思う。訴えとしてはある程度筋が通ったものだと思うのだが、上記の「俺悪くないよな論法」が使われているために非常に釣りくさくなってしまった可哀想な増田。その後投下された長い長い追記でやたらと知能指数の話をしている辺りで完全に馬脚を現した感じはする。訴えたいことは訴えたいことに絞る方がいい。「勝手に性の対象にして勝手に絶望して勝手に害を与えるのはやめろ」という主張はわかるが、そのために「私は知能指数が高い」というようなことを繰り返し言う必要はない。その辺において隙だらけなんだろうなという気はしたけど。でも女性の方が仕事が出来ると勝手に発狂して勝手に嫌がらせする情けない男もいるのは現実よね。

 

anond.hatelabo.jp

 

 主張はいいんだけど、例に出されている中学生が存在するのかどうか怪しいのでぶっちゃけ怪文書扱い。「保育園落ちた」レベルなんだけど真に受けて「中学生可哀想!」という声が上がるあたり、何とも言えない何かを感じずにはいられない。

 

 

〇全体的なまとめとしては、ネットの嘘松耐性が下がったと言うよりネット人口の増大によってネット1周目の人が嘘松に引っかかっていると考えるのが妥当だと思う。たぶん「裏2ちゃんでfusianaさん」レベルでも引っかかる人は未だにいると思うし、そういう行為が大々的に可視化されやすくなったんだろうなとは思う。そこで「騙されないように気をつけよう」と気が付くのか「俺を騙しおってけしからん!」といつまでも足踏みをし続けるのか、それは利用者次第だなぁ。

 

〇なぜ創作実話を暴くことに必死なのかというコメントを昔もらったことがあるけど、やっぱり変な健康食品とかニセ科学とか新興宗教に繋がりやすいから指摘しておきたいって思うんだと思う。各個人が「この意見は本当なのか」という視点を持てばそういう被害を減らせると思うんだけど、「個人の自由なんだから好きにやればいいのに変な茶々をいれるな」という意見もあって、難しいなとは思う。だけどこの発言、主にプロブロガーと呼ばれる界隈の人たちからよく出る意見なんだよね……こういったある種のマインドコントルールみたいな奴に対して果たして「個人の自由」ってどこまで許容できるものなんでしょうね。「疑う=悪」みたいなのはネットじゃ通用しないと思うんだなぁ、人間だもの。おわり。