混じりっけなしの短歌。
1. 透
現在を過去へと変える蝉の音に混じって消える透明な泡
2. ホイップ
思い出を混ぜて光る夏の色 泡立て器の中弾けるホイップ
3. 果
混沌の果てに朽ちゆく肉体と雨の音に覚醒を知る
4. ペンギン
ペンギンの看板の中混ぜこぜになったソファがすぐに壊れる
5. 短夜
お砂糖にミルクはいらない混ぜている時間も惜しい短夜だから
テーマ詠「あつい」
エアコンのぬるい空気をストローでかき混ぜている夏の夕暮れ
ジリジリと音がしそうなひび割れにそっと混ぜ込むラムネの残り
アスファルト 打ち水混ざる場所もなく混ざる熱気にかき消されていく
お中元売り場の混雑汗をかき地下食品街素足で歩く
鉄板の上で踊る焼きそばに混ざるキャベツの芯も愛しい