何も考えずに短歌。
題詠5首
1. 渋
さよならを言ったそばからあふれ出る涙を隠す渋谷の駅ビル
2. 容
透き通るプラスチックの影の中太陽入りの容器飲み干す
3. テスト
笑ったり泣いたり惚れたり焦ったり未だにテストの終わらぬ私
4. 新米
「新米を立てる方法わかります?」パーマをかけたコロンブスに問う
5. 野分
思い出を野分の夜に外に出す 雲と一緒に洋上へ行け
空5首
ひんやりと湿った空気を吸い込めば成層圏が降りてくる朝
あの上のもっと上の上の方 鰯の大軍泳いでいるの
命綱切り離す時言い訳が「青い地上で死にたくないから」
青空にとおりゃんせの音こだまして止まっているのは赤とんぼだけ
電灯を宇宙の方へ突き刺して永劫孤独な旅の始まり