あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

脱サラ定食屋的な何か

 一連のアレに関して、なんとなく思ったこと。

 

 ブログでお金儲けをしてもいいけど、商売をするならそこそこ中身のあるものでないとダメですよっていうところを「個人の自由だそれぞれだ」なんて言ってわーわーしているのが現状だと思います。この感覚をブログでなかったらどう表現できるのかちょっと考えた結果、「地方都市に新しくできた定食屋」ということで落ち着いたところです。いきなり話を「ブログ」にすると「個人の自由!」になってしまうので話を「商売」まで拡大したまでです。

 

 で、日本では職業選択の自由があるしそれなりにお金があれば自分の店を構えることも可能です。そこで「サラリーマンなんて縛られた生活をしたくない!」ということで何らかの資金繰りをして自分なりのおしゃれな定食屋を土地の安い地方に開いたとします。もちろんそれなりのお金が動くので、こういう店を経営する場合は事前に調理の腕を磨いたり、店を開く場所での需要の調査なんていうのを念入りにするはず。おいしいと評判のお蕎麦屋さんのそばに、わざわざ新しい蕎麦屋なんてよほど自信がない限りリスクでしかない。

 

 それにも関わらず、「やればなんとかなるんだから!」と何も考えずに開店してしまう。料理の味は開店してから少しずつ練習して上手になるからいいだろう。あっちのお店の繁盛している人もやっているから自分でもできそう。最初は友達を呼んで、口コミで宣伝してもらおう。お客さんが料理以外も楽しんでもらえるように内装も工夫しよう。いろいろと夢は膨らむ一方だけど、肝心のスキルが全てにおいてついていかない。しかし本人はそんなことを気にしないでお店をOPENさせては、お金儲けのことばかり考えている。

 

 新しい店がオープンした、と評判を聞いて次々と地元の人がやってくる。だけど全ては「開店してからスキルを磨こう」なんてやってるので当然味はおいしくない。それどころかどこかの冷凍食品の味がする。「オリジナル日替わりデザート」なんて近くの人気カフェの企画をそのままやっているのにアイスはスーパーカップをキレイに盛っただけ。「また来てくださいね!」「お友達も呼んできてね!」と帰り際にやたらと親しげにアピールされて、内装も統一感がなくごてごてとしている。店の前には「ようこそ」と虹色ポップなワードアートがあるし、そのわきには「タウン誌で紹介してもらいました!」の雑誌のページが虚しく飾ってある。「客引きにいい」と思って店の前にミドリガメの水槽を置いたり、他の店に倣ってお客さんの滞在時間を長くしようと思って新聞や漫画雑誌を置き始めたりいろいろ工夫はするけれど、なかなか集客につながらない。

 

 何より致命的に冷凍食品レベルの味に金儲けのために色のついた値段をつけているのが問題で、時々「まずい飯くわせてんじゃねえ!」というクレームが入る。しかしこの店主、根本的に味覚に異常があって自分の作る料理の味がよくわからないし、他の店の料理も全て同じように感じている。だから「客から誹謗中傷を受けた! 名誉棄損だ!」とクレームをつける客を全部出入り禁止にする。

 

 結局店に通ってくれるのはこの隙だらけの店主を何かに利用してやろうと言うけしからん連中か、店主と同じように味覚に異常がある方だけになる。特に味覚障害の仲間は「このお店の料理がまずいなんて、あの人たちはバカ舌ですね」「まずいと思ったらもう二度と来なきゃいいのに」などと店主を褒め称え、それで店主は良い気になります。

 

 しかし周囲からすれば迷惑で、店主の影響かマナーの悪い客がうろつくようになったり、衛生管理もいい加減なので害虫が発生したりゴミ出しの日を守っていなかったりということで店主にクレームを入れます。ところが店主はそれらも「客からの誹謗中傷」と受け取り、「僕にここを立ち退かせたいんだ! 田舎の暗部だ! けしからん!」と意固地になるわけです。そして最大の問題が「料理を提供するのが目的ではなく、金儲けのための店である」ということ。そんなわけでたまに「今月はいくらの儲けがありました、感謝です」なんて店の掲示板に出しておくので初めて見た人はたまげてしまう。おいしい料理を食べに来たはずなのに、何だか微妙な気分になってしまう。

 

 こんな店が現実にあるとは考えにくいのですが、ネットの中には似たようなブログがごろごろあります。「始めてから文章やコンテンツの勉強をしよう」「まずはレイアウトやSEOが大事」「クレームは全て誹謗中傷という対応」など、「商売」と考えると「えええ……」とドン引きしてしまうようなことがまかり通っている。だから胡散臭く見えるけど、中にいる味覚障害の人はそのおかしさに気が付かない。そういう構造なんだと思う。

 

 既にこう言った「ブログでお小遣い稼ぎ」は「弱者ビジネス」の側面を見せている。そして「金を稼ぐ」ことを隠しきれない割にはお粗末な経営の飲食店が乱立している。別に商売をすることは悪いことじゃない。問題はその「商売するに値する価値」を与えられているかどうかなんだけど、どうにもその辺は興味がないのが本当に怖い。

 

 余談だけどこのことを思いついて「あの話に似ている」と思ったけれど検索でなかなか引っかからなくて苦労したのがこの話です*1。やっぱり気になった話はソーシャルブックマークなどを利用しておくと後で検索するときに便利ですね。はてなブックマークを有効に使おう。おわり。

 

『Iターンした一家』 - 怖い話まとめブログ

 

*1:「田舎 パスタ屋」などで検索をしましたがなかなか出てこなくて、「田舎 息子の病気 パスタ ビール」でやっと出てきました。