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『ベイマックス』見てきたので『シュガー・ラッシュ』とかについて書く

 大人気映画『ベイマックス』見に行ってやったぜ! 面白かったぜこんちくしょー! そこで「PCガー!」「ダサ宣伝がー!」「日本のアニメは負けた!」とか言っていた周りを実際に見た観点でちょいと書いておくぜ! 映画本編の感想は鋭意製作中だ!

 

ベイマックス 永遠の絆

ベイマックス 永遠の絆

 

【PC・ダサ宣伝関係】

 なんか「宣伝では感動スイーツを狙っておいて中身がアツい戦隊ものじゃねーか!」と言う点ですけれど、もう既にそう考える時点で「ダサ宣伝」の思うままになっているわけで。そもそもこの映画の感想にも散々「ディズニーだから苦手だと思ったけど」とかそういうのも完全に「ダサ宣伝」だと思った。政治的に正しいのが正しいに決まっているけれど、それを「評価」してはいけないと思う。サッカーの試合で負けたのに「フェアプレイの精神で戦ったからこっちのチームの勝ち」とかそういうのはないわけ。

 

 確かに『ベイマックス』は丁寧に作られていた。でも、それだけだ。とっても面白いんだけど、そういうのが好きじゃない人だっている。『ベイマックス』を絶賛している人って、ひとつ欠点が見えてしまったらそこばかり気になって全てが駄作に見えちゃうような感覚で作品と向き合っているのかなぁと思う。なんとなくPC関係は「他のあれはダメだけどベイマックスはよかった!」みたいな上げ下げ論法で語っている感じがどうも気に食わなかったから。作品論はその作品周辺だけで語るべきで、余所に派生するときもそこに敬意を払わないと作品のアゲサゲだけで終わる。「男女のアゲサゲ」にはこだわるけど、作品のアゲサゲは平気でするダブスタ。そんな印象。

 

【『シュガー・ラッシュ』見ようぜ】

 そんで「日本のアニメは負けた」論なんだけど、そんなのは『シュガー・ラッシュ』の時点で出ていてもおかしくないと思うし突き抜けた原点は『シュガー・ラッシュ』だと思う。

 

シュガー・ラッシュ [DVD]

 

 前に『シュガー・ラッシュ』見たときは「これはヤバい」って思って滅多に買わないDVDを衝動買いしちゃったくらい入れあげました。多分日本でそこそこだった原因は「ゲームの悪役が出る」というイロモノ感と「AKBが主題歌歌っている」という謎のアイドルスイーツ忌避と「どうせディズニーなんだから子供向けだろ」というそれこそ「ダサ宣伝」にやられたんだと思う。

 

 はっきりいってシュガー・ラッシュ』は社会人になってそこそこ年季は入ったけれど「俺は一体何やってるんだ、小学生に戻ってファミコンしてぇ」というくたびれたオッサンほど見るべき映画だと思う。「子供向けの菓子の映画なんか見れるか」という奴ほど見てほしい。特に8bit音に反応しちゃう人なら是非見てほしい。

 


映画『シュガー・ラッシュ』第2弾予告編 - YouTube

 

 なんか予告編の動画探しているだけで泣けてきちゃう。主役はこのオッサン、ラルフです。悪役だからかっこいいところもないし、乱暴者でみんなに嫌われています。主人公のフィリックスはみんな褒められてメダルももらえるのに、自分は頑張ってもただ嫌われるだけ。なぜならば悪役だから。そんな理不尽から抜け出すためにラルフがたどり着いたのはお菓子の国のレースゲーム「シュガー・ラッシュ」で……。

 

 映画を語るときに大事なのは物語じゃなくて「画面」だと思うのね。この『シュガー・ラッシュ』の映画の一番の見せ場はこのお菓子のレースゲームで完全に「マリオカート」なのだ。監督が「マリオカート」が好きで「マリオカートみたいな映画を作りたい」というのがこの映画のひとつの動機らしい。他にもひとつひとつのギミックが細かくて「あの頃ゲームが好きだった少年少女たち」に対しての愛がそこかしこに詰まっている。

 

 それで忘れちゃいけないのがこの話の主題。「悪役から抜け出したい」という動機の主人公たちに対して作品の中で出される答えは非常にわかりやすく、誠実なものだった。ズバリを言うとネタバレになっちゃうから言わないけれど、閉じ込められたフィリックスとラルフがお互いの「役割」について語るシーンが本当に辛い。所詮ゲームの中の話なのに、ここだけ妙に現実味のあるシーンになっている。それまでの「映像でやりたいことをやって楽しんでいる」感じもいいんだけど、ここで一気に主題が引き出されていて「大人」の涙を誘う。ここは「大人」ほど気を付けて見てほしい。

 

 つまり何が言いたいかって言うと、『ベイマックス』も面白かったんだけど『ベイマックス』だけ見て「ディズニーはジャパニメーションを越えたな」とか言うのは浅いってことです。というより、勝った負けたの世界じゃなくてこういうのは「やりたいことをやったもん勝ち」ってところだと思うんです。今回の『ベイマックス』も「こんなことが出来たらいいな」をめいっぱい詰め込み過ぎている感じがしました。だから見ていて楽しい。脚本のテクニックとかそういうのもあるけれど、一番はそれだけだと思うんです。制作陣が楽しんで作ったのが伝わってくる。だから誠実。そんな感じがするのです。

 

 ディズニーの日本リスペクトは『シュガー・ラッシュ』を見ればわかるけれど既にディズニー路線に組み込まれていた。ある意味『ベイマックス』が生まれたのは『シュガー・ラッシュ』の頃から仕組まれていたことだと思う。つーか、ディズニーはやっぱり大御所なわけでそれなりのものを作れるわけですよ。いくらジャパニメーションがスゴイって言っても年季の入った大御所に簡単に勝った負けたとか言っちゃいけないと思うんですよ。こういう世界はある程度先輩をリスペクトしたほうがいいと思うのね。

 


The Cookie Carnival - YouTube

 

 ある意味『シュガー・ラッシュ』の前身と言えば前身。全編英語なので一応ストーリーだけ紹介すると、お菓子の国の女王様を決めるパレードが開かれていて、女王様が決まったら次は王様を決めようってことです。それだけわかってればあとは音楽とアニメーションだけで十分楽しめます。これ1935年の作品だからね。ディズニーはこの頃からもう「こういうことをしたい!」っていうのがわかりやすいほど詰まっているアニメーションつくってるんですよ。それの進化版が『ベイマックス』って言われればなるほどって思いますよ、うん。

 

 つまり何かって言うと「ディズニーだから……」っていう固定概念そのものが既に「ダサ宣伝」に組み込まれている可能性があるので分け隔てなくディズニー楽しもうよってことです。終わり。