あのにますトライバル

君の気持ちは君の中でだけ育てていけ。

ネット初心者のための「釣り」の話

 火事と喧嘩は江戸の華と言うように、炎上と釣りはネットの華と言われているとかいないとか。そんなわけで以前の「はてブ用語シリーズ」の番外編の「釣り」とは何だっていうことを超初心者向けに、または自分の整理として書いてみます。

 

f:id:zeromoon0:20140916203606j:plain

「釣り」ってなぁに?

 海や池でお魚を手に入れることではありません。一言でいえば「嘘や大げさなことでネットの注目を集める行為」のことを言います。行為に対する反応が多いことを「大量=大漁」としたことから「たくさん釣れた」と言うようになったとかならないとか。

 

そんなことして何が楽しいの?

 比較的おだやかなSNSからやってきて、はてなを始めてから「釣り」を目にした人は不思議に思うそうです。「釣り」をする理由は主に2つです。ひとつは単純に「PVが欲しい」「PVで金を稼ぎたい」というPV狙い。もうひとつは、自分の作ったストーリーに思い通りの反応が返ってくることが楽しいという娯楽目的です。

 

  PV狙いであれば、たくさん読んでもらうためにわざと神経を逆なでするような刺激的なことを書きます。直近の出来事であれば、「首都圏で消耗してるの?」と高知に移住したあげく、「僕の記事をパクっておくれ! だからみんなパクらせろよ!」という放言をまき散らす人が印象に残っているでしょう。彼の目的はそうやって名前とブログを知ってもらうことにあります。だから「そういうひどい人がいるんだな」くらいの認識でいいです。知る必要もありません。

 

 それではもうひとつの「娯楽目的」というのはどういうものでしょう。これは2chのような匿名掲示板の時代から伝わる遊びのようなものです。匿名と言う性質を利用して、本当か嘘かわからないことに対して「本当か」「嘘か」という真偽を確かめあったり、または見事な嘘に騙されることを楽しみにしているところもありました。これは「ネットに書いてあることはだいたいがつくりごと」という認識を持っているからできる話です。「ネットにあることは全部本当なんだ」と思っている人には向かない遊びです。

 

 伝説の「釣り」と言えば、こちらのスレッドが秀逸です。


俺の先祖は恐ろしい人物かもしれない・・・ - YouTube

 

 冒頭でホラー描写がどうこうなどという断り書きがありますが、少し内容が不気味な話と言うだけで別にグロ画像などが出てくるわけではないので安心してみることができると思います。あまりにも見事なこの事件をきっかけに「釣り神様」というキャラクターも生まれています。

 

 実際にどういう記事があるの?

 具体的に見たほうが早いと思ったので直近の「はてな匿名ダイアリー」から少し使えそうなものを引っ張ってきました。真偽のほどはわかりませんが、「釣りってこういう話題になりがち」という教材です。

 

男女間トラブルの場合


 タイトルで大きく「女は~」と人類を二分割にしたわりには、中身はケースバイケースを通り越して書き手の精神を疑うような内容だ。この手の男女トラブルは「それは女が悪い!」とか「だから男って嫌なのよ!」みたいな意見が出やすく、平行線をたどり続けることになるから非常に燃えやすい。おそらくそのような反応を想定して書かれたものだろうと思われるケース。

 

 煙草・酒など嗜好品のトラブル


 みんな大好き煙草と酒に関してはとにかく荒れる。このように「好きと嫌い」が二項対立になるものは論争になりやすい。そしてこの記事では「主語を大きく」して「一方的に煽る」形式をとっているので、まずそのツッコミが入る。更に「これだから酒好きは嫌いだ」「飲めないくせに偉そうに」と対立を深めていく。燃えやすい鉄板ケースだ。

 

主点すり替え論法 


 おそらく、これはこのような高校に入るような生徒の書く文章ではない。また、この年の若者がこれだけ自己と周りを客観視できていたらそれはそれで見ものだ。この不自然な点を考えると、「初めてそういう学校に赴任した新米教師が書いた」と見るのが妥当だろう。しかし、「底辺校に赴任した結果www」とか書くと怒られるので生徒に仮託して書いているのだ。「自分がしたことを相手にされたというような内容で書き換えて、その出来事自体の評判を見る」ということはよくある話で、つまりネットの話を全部真に受けてはいけないと言うことだ。

 

無駄な自虐系 


 この手の記事の狙いは「そんなことないよ」って言ってほしいだけである。真面目に「こんなにかわいそうな人がいる!」って思ってはいけません。大体は話を聞いてほしいだけだったり承認されたがっているだけなのです。下手に個人ブログなどで真に受けて同情的な反応をすると「この人は話を聞いてくれるんだ!」と粘着される可能性があります。全て自己責任です。

 

クロバットな例


 この記事自体は「男女間トラブル」のカテゴリに入れてもよさそうなのですが、面白いのはこの記事がヒットした後に以下の記事があがってきたことです。

 

 こうやって適度なアンサー記事が上がってくる事態が「予定調和の物語」っぽいのです。某匿名掲示板でこのような流れが出ると「人気取りのなりすまし」と認定されていました。間違っても、この2つの記事がどちらも全て真実を語っているとは思ってはいけないのです。

 

まとめ

 簡単に言うと「ネットに書いてある話は全て真実ではありません」ということです。全くの事実無根や、本当はもっとちっぽけなことなのにわざと大げさに書く記事のほうが多いと思ったほうがいいです。だから「これは真剣なメッセージなのか」「ただの構ってほしい記事なのか」「悪質な拡散記事なのか」を自分で見極めないといけないのです。海外旅行に高級腕時計をわざわざつけて行って、腕ごと切り落とされてから「そんな治安が悪いなんて知らなかった!」ということのないように、日頃からネットの情報はよく考えて使っていきましょう。

 

 参考図書

 ネットに書いてあることが信用できないのであれば、書籍でカバーしましょう。

  これ、単純に読み物として非常に面白いです。小説を書こうとしている人なんかにはオススメの一品です。人の心を掴む文章の特色なんて下手な文章講座よりよっぽどためになると思うんですよ。最後にhagexさんとtopisyuさんの対談があるのがアツイですね。ここに書いてあること以上のことが学べます。