さよならドルバッキー

この世の裏を知ったドルバッキーは世を儚んだ。

今更ワンピースを最初から読んでみた話

 この前の漫画屈辱でチェック入れられなかったからというわけでもないけれども、今さらにしてワンピースを1巻から魚人島編あたりまで一気読みしました。

 

 実際に読むまでのワンピースのイメージはこんな感じ。

・知ってるキャラクター? ルフィは伸びて強い。海賊王になりたがっている。ゾロは刀を使って強い。ナミは正統派ヒロイン。サンジは蹴る人。ロビンは謎の美女。ウソップは勝平。チョッパーは獣。フランキー? ブルック? ああそういう人もいるんだ。

・「そろそろ読んでおかないとヤバイかな」と思って連載しているところを覗いたらロビンの過去編やってて「これはちょっとわからん」と思ってしばらく置いた後覗いたらゴーイング・メリー号とのお別れの回で「ワンピース=ありがとうゴーイング・メリー号」という図式が出来ている。

・昔弟たちの付き添いで映画を一緒に見に行った父曰く「戦っているだけだった」。

・チョッパーがかわいいという理屈が理解できない。

・なんかジグソーパズルいっぱい出てる。ちょっとやりたい。

ワンピース 1000ピース ワンピース モザイクアート 1000-330

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 そんな見識で読んでいたのですが、正直な感想は「これは面白いわ、ウケるはずだ」ということ。以下面白かったポイントを置いておきます。

 

1.キャラクターの動機がわかりやすい

 一番はこれ。「誰は何をしようとしているのか」が非常にわかりやすい。大体が「世界一の~になる」とか「世界のどこかにある~を探している」と明確で、それぞれが目標の達成のために寄り集まっている。その動機が一番弱かったウソップもウォーターセブン編できれいに片づけてしまったし、この辺のストーリー展開は本当に上手だと思った。でも、肝心の「海賊王」が何なのかイマイチ明確になっていないところがキモだと思った。「何なんだよ海賊王って」というところを70巻近く引きずってもじれったいと思わない。多分本人もなんだかよくわかっていない。わかりやすいのにわかりにくい。そこがいい。

 

2.読みやすい

 びっくりしたのが「非常に読みやすい」ということ。流石に自分でもぶっ通しで30冊読んでも集中力が全く切れないというのはなかなかあることではない。最近一気読みした漫画で比較すると、「さよなら絶望先生」は面白かったけれど一度に読めるのは大体4~5冊だった。とにかくワンピースは読みやすい。絵が簡素だとかそういう印象はないけど何故か簡単に読み進められる。専門家じゃないからうまく言えないけど、多分構図とかコマ割りにも工夫があると思う。

 

3.あらすじや戦闘シーンがわかりやすい

 大体が「麦わら海賊団の前に悪い奴がいて、ルフィがぶっ潰す」というストーリー。本当に「ぶっ潰す」で、戦いの場面で小細工とか伏線とかそういうのがほとんど存在しない。単純な力と力のぶつかり合い。駆け引きとかそういうのはあんまりない。細かいところも気にして読むと楽しいけれど、別に気にしなくてもストーリーにはきちんとついていける。明確に「悪者が暴れて麦わらがピンチな場面」と「麦わらが逆転して勝つ場面」と「その事件の過去に何があったのかの説明の場面」が分けられていて、時系列で混乱することはない。更に「〇〇編」で人間関係がほとんどリセットされるところも「最近読み始めたんだけどこれ誰?」ということがなくていいところ。流石に頂上戦争あたりは過去キャラ投入してきたなと思ったけど。

 

4.ルフィの台詞があんまりない

 実はルフィってあんまり読者に語りかけないキャラで、そこが面白さの秘密のような気がしてきた。基本的に「腹減った」「わーそれすげー」「仲間!」「海賊王に俺はなる!」の4つのパターン以外はあんまり喋らない。そして「やろうぜ」とか「いや、俺は行かない」とか「はいorいいえ」の時は大ゴマで自己主張をしている。それでなんとなく「ゼルダの伝説」みたいな「主人公喋らないゲーム」に通じてるのかなと思った。

ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D

ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D

 

 ゲーム内でやることは決まっていて、主人公は「はいorいいえ」しか選択肢がない。しかも基本的に「はい」しか選択権はない。基本的にルフィがやっていることはこのシステムに似ていると思った。だからロールプレイングみたいにルフィに感情移入ができる。

 

 よくワンピース批判で「内容が薄い、主人公が何を考えているかわからない」というのがあるけど、それが面白さの秘訣なんだと思う。ケータイ小説の登場あたりから「主人公=自分」として読む層が増えている。主人公はどんどん没個性になっていき、その変わり周辺キャラが濃くて「この楽しい人たちと一緒にいる気分になれる」という理由で物語を消費する世代にはルフィという主人公はこの上なく自己投影できるキャラクターなのだと思う。「ルフィが仲間を大切にした」というところで「自分も仲間を大切にしている!ルフィの気持ちわかる!ルフィと自分は一緒!」というのが多分正しい読み方。「仲間を大切にする動機が分からない」という神視点を求めるのはこの場合邪道。

 

 ベタ褒めしたけど納得できない点もあるし、何よりまだ完結していないから何とも言えないけど、「内容が薄いから駄作」でないことは確かだと思う。「超」がつく王道ストーリーにある程度記号化されてわかりやすいキャラ、読みやすい配置、明確な場面設定。漫画のお手本みたいなモノだなーというのが全体の感想です。

 

 ここから先は余談。エースの最期の台詞が自分にとって不発で、もう少し、もっと何かいいのがあってもいいと思った。もっと兄ちゃんらしいセリフで何かなかったのかなぁ。あとスルメ(このネーミングは好き)にルフィが「兄弟は守りたいよな」というシーンはルフィが60巻以上経って初めて自身の心情を遠まわしに口にした台詞だと思うと何だか感慨深いものがありました、まる。